beacon

[MOM2592]昌平MF原田虹輝(3年)_2発!大津も止められなかった「ボランチのドリブラー」

このエントリーをはてなブックマークに追加

昌平高MF原田虹輝は2得点で準決勝進出の立役者に。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.11 総体準々決勝 昌平高 2-1大津高 四日市]

 文句なしのMOMだろう。大津高の敗因は昌平高が全国に誇るこの男のドリブルを止められなかったことに尽きる。

 インターハイ準々決勝、相手はU-18日本代表選手2名を擁する強豪・大津だが、昌平のMF原田虹輝(3年)は「自分でも(ボールを)持てていると思ったし、ドリブルでいけるとも思っていた」。プレーを続けながら得た確かな好感触。そうした感覚を後押ししたのは後半のクーリングブレイクでの藤島崇之監督の指示だった。

「今日は原田でいくぞ」

 ドリブルでスペースへ運び出す独特の感覚、技術を元より高く評価していた指揮官は、ここで本人の背中を押す。「もっといっていいぞ」というチームメイトからの声もある中、ついにそのドリブルが猛威を振るったのが22分のことだった。

 自陣のエアポケットのようなスペースでボールを受けた原田は、ノープレッシャーであることを察して難なくターン。そこからドリブルを開始する。絶妙なコース取りで相手の守備者に前進を遮られることなく、スペースをついてドリブルで運んでいく。

「下のほうからスピードに乗っていくのは得意な形」(原田)。結果として4人を置き去りにするような形で60mほどをドリブルで進んでPA内へ侵入。最後は味方に送ったラストパスでハンドリングの反則を誘って、PKを獲得。これを自らしっかり決めてみせた。

 その後同点に追い付かれたが、アディショナルタイムに再び原田が魅せる。相手DFのクリアボールを拾ったところからMF森田翔(3年)とのワンツーリターンで局面を鮮やかに打開。最後は飛び出してきたGKの頭上を巧みなシュートで破って勝ち越しゴールを流し込んでみせた。

 日本代表MF大島僚太を「ちっちゃくても失わない選手」として意識しているというが、確かに静岡学園高時代の大島も「ボランチのドリブラー」として低い位置から巧みにボールを運び、最後の局面をも打開してしまう選手だった。もう少しさかのぼると、FCみやぎバルセロナユース時代の香川真司もまた、「ボランチのドリブラー」として脅威を与えていた選手。彼らの系譜に連なるものを、あらためて感じさせてくれるプレーぶりだった。

 昨年は「後ろでさばいている感じ」(DF関根浩平、3年)の選手だったが、今季は黒子に徹した昨年と異なり、仕掛ける意識に加えてシュート意識も高まり、埼玉県予選では得点王にも輝いた。「守備を丸山聖陽(3年)に任せられているおかげ」とボランチの相方を立てた昌平の名手は、「インターハイは進路にとって大事な大会」と、大会に懸ける思いも人一倍。チーム初の栄冠をつかむと同時に、自分の未来をも切り開く考えだ。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校総体2018


TOP