beacon

[MOM2596]桐光学園DF望月駿介(3年)_痛烈ヘディング弾で値千金の決勝点

このエントリーをはてなブックマークに追加

桐光学園高CB望月駿介主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.12 総体準決勝 桐光学園高 3-2 昌平高 鈴鹿]

 後半の立ち上がりに得た連続得点の中でも、3点目の価値はとりわけ大きかった。インターハイ準決勝、桐光学園高(神奈川2)は、3-2で昌平高(埼玉1)の追撃を振り切って決勝進出を果たした。桐光学園は、前半の途中から相手のポゼッションに苦しめられて守勢に回っていた。ところが、後半が始まるとカウンターアタックに勝機を見出し、連続してゴールを奪った。1点目は、ショートコーナー。2点目は縦パス1本で抜け出したエースの一撃。そして後半10分に右CKから打点の高いヘディングシュートを決めたのが、主将の望月駿介(3年)だった。

「あれは、ずっと練習してきた形。相手がファーサイドをかなり警戒していたので、一度ファーにつり出してニアへ行こうと思った。(キッカーの西川)潤が良いボールを蹴ってくれたので、合わせるだけだった」と振り返ったゴールは、決めた直後こそダメ押し点といったイメージだったが、試合が終わってみればかけがえのない決勝点となっていた。望月のゴールから3分後、試合は雷のために4時間半も中断。再開後は、3点差で捨て身になった昌平が猛反撃に転じ、受け身に回った桐光学園は2点を奪われながら、どうにか逃げ切る格好になった。

 鈴木勝大監督は「点の取り方が良かった。1点や2点では、まだまだ安心できない相手。昌平は、逆転、逆転で勝って来ているチーム。後半10分以内に3点を取れたことは、非常に良かった。(相手が特にマークしているであろう)うちの役者が取ったことも、相手にはダメージが大きかったと思う」と3点目の重要性を認め、望月については「1年生の頃から経験を積んできている選手。すごく優しくて、おとなしい子だけど、変化してきた。ロッカーでも率先して話すようになり、今大会を見てもプレーが格段に良くなっている。大会を通して男前になってきた」と高く評価した。

 活躍したのは、得点場面だけではない。前半途中から相手ペースになった試合の中で、センターバックを組む内田拓寿(3年)とともに、相手の攻撃を要所で跳ね返し続けていた。4時間半にも及ぶ異例の試合中断に際しても、チーム全体をまとめる主将としての役割を果たした。試合が中断している間は「3点差でも、相手は沈まない。絶対に気持ちを切り替えてやって来る。気持ちを切らさずに全員でやろう」と話していたという。試合再開後は、相手の勢いを止め切れずに苦戦したが、望月は「1点取られてヤバイかなと思ったけど、焦らずにまだ2点差あるぞと仲間に話して、またイチから走ることや戦うことをやろうと話した。最後は2失点したけど、気持ちは切らさずに最終的に勝てたので嬉しい」と戦い切った達成感をのぞかせた。

 翌13日に行われる決勝戦は、高円宮杯U-18プリンスリーグ関東でも戦っている山梨学院高校(山梨)と対戦する。相手のエースは、FC多摩ジュニアユースでチームメイトだった宮崎純真(3年)。「絶対、負けたくない」――役割は明確だ。一戦必勝で勝ち上がって来た大会の最終戦。相手エースを抑えて悲願の初タイトルを獲得するために、サックスブルーの主将は戦う。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2018

TOP