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「うれしかった。でも実は…」 ジェフ愛誓うDF鳥海晃司、明大同期との“初再会”を振り返る

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旧友との初対戦を果たした千葉DF鳥海晃司

[8.12 J2第28節 町田3-3千葉 町田]

 ジェフユナイテッド千葉DF鳥海晃司にとって、J2リーグ戦の15試合目は大きな意味を持つ一戦になった。明治大での4年間で苦楽を共にした同期の1人とJリーグの舞台で初めて対戦することになったのだ。そんな試合後には「本当はまた一緒にやりたい」と複雑な心情を交えつつ、愛する“ジェフ”への思いも明かしてくれた。

 ここ3年間で20人近いJリーガーを輩出する明治大は2018年春、新たに5人の有望選手をプロサッカーのステージに送り込んだ。アカデミーで6年間を過ごした千葉に“里帰り”を果たした鳥海、浦和レッズに加入したMF柴戸海、愛媛FCに加わったDF山崎浩介、アビスパ福岡のFW木戸皓貴、そしてこの日の対戦相手となったFC町田ゼルビアのMF土居柊太だ。

 大人の階段を上ろうとする大学での人間関係は、外部から想像されるよりもはるかに濃い。「サッカー推薦で入った人は全寮制で、下級生の頃はめちゃめちゃ厳しい仕事を一緒に乗り越えてきたし、みんな“底の底まで”人間性を知っている。本当に家族みたいな存在」(鳥海)。そんな彼らはプロ入りしてからも連絡を取り合い、「誰がいつ試合に出たかをチェックして活力にしている」のだという。

 大切なかつての居場所を巣立ってから約半年が経ったこの日、鳥海にとっての初めてとなる“再会戦”が訪れた。相手は「大学の時は居てくれて頼もしい存在だったけど、相手にすると『めんどくさいなあ』というのが率直な印象」という土居。鳥海は右センターバック、土居は左サイドハーフで先発したため、互いに視界に入り合うような関係性で試合が行われた。

 かたや土居もプロデビュー戦の愛媛戦以来となった同期との対峙に向けて、浅からぬ感慨を持って試合に入っていたという。「CBに鳥海がいて、こっちのサイドバックにはミゾくん(DF溝渕雄志・17年慶應大卒)がいたので、大学リーグでやっていた選手ばかりで懐かしい感じもありました」。その中で「自分のことで精一杯ですからね」と過度な意識はしないように努めていたようだ。

 試合は鳥海のオウンゴールで先制点を献上した千葉が劣勢を強いられる展開。「ボールに触るべきではあったし、触ったことは後悔していない。ただ、ボールが来る前にポジション修正をもっとできたし、それができていればああいった形で倒れ込みながらのヘディングにならなかった」。冷静な分析で切り替えた鳥海は長短のパスで攻撃の起点となり、後半の猛攻を最終ラインから支えた。

 対する土居は「とにかく自分のプレーをしよう」と試合に入り、高温多湿下でも消耗をいとわず、中盤サイドでのファーストプレス役を担うと、ピンチの場面では決死のヘディングクリアも披露。後半26分にお役御免となり、「もっとやるべきことを突き詰めないといけない」と振り返ったが、その後にチームが3点を奪われたことが皮肉にも貢献度を物語っていた。

 旧友との対戦を終えた鳥海は取材に対して「うれしかった」と頬を緩めつつ、「でも、実はちょっと寂しい気持ちもありました。本当はまた一緒にやりたいなと思っています」と意外な本音も。「試合前は連絡を取らなかったので、終わっていまから……ってところです」と口にした後、ロッカールームから土居が訪れ、4学年先輩のMF矢田旭も交えながらつかの間の旧交を温めていた。

 もっとも、千葉に戻ってくるという道を選んだ以上、目線は未来へと向けている。「ジェフはもっと上にいないといけないクラブなので、いまの状況はふがいないし悔しい。自分はジェフを見て育ってきたので、ここから順位を上げたい気持ちでいっぱいです」(鳥海)。好調が続く町田でレギュラーを奪い取ろうという旧友からの刺激を受けた23歳は、1年目シーズンの残り“3分の1”で愛するクラブの飛躍を誓った。

(取材・文 竹内達也)
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