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苦しい時期を一体感持って乗り越えた!山梨学院CB西澤主将が涙のV!

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山梨学院高のCB西澤俊主将はチームスタッフや仲間たちに感謝。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.13 総体決勝 桐光学園高 1-2(延長)山梨学院高 鈴鹿]

 悩んで、悩んで、作り上げてきたチームは、自分も驚くほどに強くなっていた。山梨学院高のCB西澤俊主将(3年)は初優勝を決めると、涙。「辛いこととか、苦しいこととか、思い出しちゃって泣いてしまいました」とその理由について説明した。

 山梨学院は今年のプリンスリーグ関東で第3節から5連敗。安部一雄監督も「(西澤は)意外と寡黙なヤツなので。プリンスリーグで結果が出なかった時、5連敗した時はかなり苦しかったと思う」振り返る。

 試合では積極的に声を発し続ける主将だが、自分で抱え込んでしまうこともあり、安部監督の方から声を掛けることも多いのだという。プリンスリーグ関東の連敗こそ第8節の東京Vユース戦(7月7日)で止めたものの、インターハイ開幕直前には指揮官から「バラバラだ」と言われてしまう。だが、西澤中心に試合のたびに選手同士で話し合う場を持ち、同じ方向を向くなど、自分たちから変わろうとしたチームはインターハイで変化する。

 我慢強く戦い抜いた市立船橋高戦、2度のビハインドを跳ね返した日章学園高戦など厳しい試合を勝利。決勝では、「技術が相手の方が上だった」桐光学園高に先制されたが、一進一退となる展開の中で山梨学院は一体感を持って戦い続ける。そして、後半アディショナルタイムにエースFW宮崎純真(3年)が同点ゴール。延長戦で主将は自分たちの武器が相手を上回っていると感じていた。「責任感もあるし、自覚もでてきた」(安部監督)という主将中心に戦った山梨学院は逆転勝ち。苦しんできた世代は初のインターハイ制覇を成し遂げた。

「チームの一体感は自分たちの方が明らかに上だったし、そういう面で勝てたし良かったです。苦しい時はチームが下向きになってしまっていたけれど、この大会はチームが一体感もって同じ方向向けたのでこの結果になったと思います。(全国制覇は)みんなのおかげとしか言いようがない」と胸を張った。

 西澤自身、この日は横浜F・マリノスジュニアユース時代のチームメートである桐光学園の左SB金子開研(3年)や後輩FW西川潤(2年)と対戦。西川に先制点を奪われて「火がついた」CBは、「アイツは止めないと調子乗ってどんどん前から来るので、そこは自信持っていかないといけない」と気持ちのこもったプレーで相手のキーマンである後輩に対抗した。

 ピンチは作られていたものの、CB大石悠介(3年)らとともに粘り強く守って2点目を許さず、チームも勝利。涙で目を赤く染めながら「日本一のキャプテン」になった西澤は、誰よりも早く次へ向けて切り替えていた。「ここで調子乗ってこの結果で浮かれてしまうと選手権を絶対に落としますし、そこはまたみんなで話さないといけないと思っている。自分が切り替えて謙虚に頑張っていきたいと思います」。苦しい思いをしながら掴んだ頂点。この冬、より大きな喜びを一体感を持って掴みに行く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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