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好守連発で優勝GKとなった山梨学院・市川隼、復帰のライバルたちと新たな競争へ

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山梨学院高初Vの立て役者となったGK市川隼は新たな競争へ。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.13 総体決勝 桐光学園高 1-2(延長)山梨学院高 鈴鹿]

 桐光学園高は後半終了間際、1点を追って反撃する山梨学院高の背後を突く形でカウンター攻撃。左SB金子開研(3年)やFW西川潤(2年)が決定的なシュートを打ち込んでいた。だが、その前に山梨学院のGK市川隼(3年)が立ちはだかった。

 後半アディショナルタイム5分、山梨学院は市川隼が西川の低い弾道シュートを止めると、そこからロングカウンター。FW宮崎純真(3年)の劇的な同点ゴールが生まれた。そして延長戦で逆転勝ち。PK戦となった準決勝で3本をストップして山梨学院を決勝へ導いている市川隼の好守が、決勝でも白星をもたらした。

 市川の兄・GK市川泰成(現国士舘大3年)は、東海大翔洋高(現東海大静岡翔洋高)時代にインターハイ出場。国士舘大の同級生には、3年前のインターハイ優勝GK脇野敦至(3年=東福岡高)や同準優勝GKの寺尾凌(3年=市立船橋高)がいる。市川は彼らからのアドバイスも活躍に繋げた。

 18年インターハイのGKで最高レベルの活躍を見せた市川は優勝GKとなり、大会優秀選手にも選出された。ただし、本人は計6失点していることを悔しがる。「失点した分、ここで取り戻さないと、という気持ちでやっていた」ことがPK戦や試合中での好セーブに繋がったが、本人はこれからより失点を少なくすることにこだわっていく。

 優勝GKもこれから実績関係無しのポジション争いに臨むことになる。昨年度の選手権メンバーで、新チーム発足当初にゴールを守っていた大型GK中村春貴(3年)が膝蓋骨の負傷から復帰間近で、1年生GK熊倉匠もナショナルトレセン経験を持つ実力者。村松征二郎コーチは市川の活躍、「(PKを含めて)シュートセーブの感覚を持っている。何をやらせても運動能力が凄い」という能力値の高さを認める一方、選手権へ向けて一からGK争いをスタートさせることを口にしていた。

 ライバルの一人である中村は「良かったですね。アイツがやってくれて」と市川を信頼し、優勝してくれたことに感謝。飛距離十分のドロップキックを身に着けた市川の努力も知っているが、中村自身もポジション争いで負けずに努力していく構えだ。

 それに対し、市川は「(中村)春貴も関東のGKのトレセンに選ばれているというのがあって、自分は悔しい気持ちでやってきた。(中村)春貴が復帰しても譲らずに、自分が出続けて選手権の舞台でもやっていきたい」と意気込む。6試合ゴールを守り抜いた市川の経験は大。ハイレベルなポジション争いの中でそれぞれが力を伸ばし、冬へ向けて山梨学院の守りをより隙の無いものにする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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