beacon

トーレス&金崎加入後は大幅失点減…鳥栖フィッカデンティ監督が語る『歩んでゆくべき道』

このエントリーをはてなブックマークに追加

ここ5試合でわずか1失点のサガン鳥栖

[8.15 J1第22節 川崎F0-0鳥栖 等々力]

 夏の大型補強が話題になったサガン鳥栖が浮上の兆しを見せている。FWフェルナンド・トーレス、FW金崎夢生の新戦力はそろって無得点が続いているが、2人がそろって先発した直近5試合の失点数はわずか1。彼らが守備面に与えている影響はどのようなものなのか。マッシモ・フィッカデンティ監督にぶつけてみた。

 ロシアW杯期間までは自動降格圏の17位に沈んでいたが、移籍ウインドー明けの6試合で勝ち点8を稼ぎ、残留圏内の15位にまで浮上してきた鳥栖。割り切って守備を固める試合が続いているが、強力な2トップだけでチャンスをつくる場面もあり、攻撃陣の強化が守備の安定を生み出しているようにも見える。

 川崎F戦後の記者会見でその点を指揮官に問うと、以下のような回答が返ってきた。「彼ら2人は強いパーソナリティーがあり、またチームにいち早く溶け込もうとしている。後ろの選手も少し代えたことで、しっかり戦えるようになってきた。もし残留したいなら、1試合に3失点、4失点をしているようでは話にならない。なのでまずは守備から戦っている」。

 すなわち、2トップの加入を受けての戦術変更ではなく、“残留”という目標を念頭においての戦術変更だったようだ。しかし、この話には前置きもあった。「シーズン初めから同じことを言っているが、今季はアタッカーに怪我人が多く、これまでに4人が離脱した。選手として、監督として、長い経験があるが、同じような状況は味わったことがない」。

 今季はシーズン序盤から主力級のFW池田圭、FW趙東建、MF安庸佑、FWビクトル・イバルボが長期の負傷離脱を経験。その結果として攻守のバランスが悪くなり、シーズン序盤は失点が続いてしまっていたという考え方だ。

 それらの問題が今夏の大型補強によって解決。「前線から前掛かりになれば失点もするし、失点したくなく引いてしまえば、勝つためのゴールを決められない。いまはそこに良いバランスができてきていて、ここ3試合はしっかりと結果が出ている」。

 もっともそれに並行し、相手を意識した細かい戦術のテコ入れも続けている。ここ3試合では当初の4-3-1-2から4-4-2にフォーメーションを変更しているが、川崎F戦ではさらに金崎をやや引いた位置に配置。指揮官はこの狙いについて「川崎Fの大島、中村、守田の3選手にピッチ中央でボールをキープさせないこと」と説明した。

「対戦相手によって少しずつ戦術を変えていくことがあるが、大きく変えることはない」と今後も同様のプレーモデルを維持することを示唆したフィッカデンティ監督は、残留目標の堅守戦術について「歩んでゆくべき道は、まさにこういうべき道だと思っています」と強調。一方、2トップを固定するかどうかは「うまくいっている間は続けていかないといけないが、他の選手がポジションを奪う可能性もある」と述べるにとどめた。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2018シーズンJリーグ特集ページ

TOP