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[SBSカップ]股抜き突破に多彩なパス…豪州を翻弄し、“本気”にさせた154cmMF神田凜星

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U-18オーストラリア代表を技で翻弄した静岡ユースMF神田凜星(静岡学園高)

[8.19 SBSカップ第3節 静岡ユース 0-0(PK3-4)U-18オーストラリア代表 草薙陸]

 登録154cm、ピッチの中で最も小柄なMFが、そのテクニックで会場を幾度も沸かせ、U-18オーストラリア代表を“本気”にさせた。

 静岡ユースのMF神田凜星(静岡学園高)はこれまで“ジョーカー役”として起用されてきたが、この日はトップ下のポジションで初先発。一見難しそうな浮き球をピタリと止め、大柄なオーストラリアの選手が寄せて来る前に素早くパスを通したり、1タッチパスで相手をいなしたりして攻撃にリズムを生み出した。

 彼のパスからクロス、シュートまで持ち込んでいた静岡ユースは、後半立ち上がりにも神田が右タッチライン際からDFの背後を狙ったパスによって決定機。掴みどころのない動きでオーストラリアを翻弄していた神田はさらに13分、左コーナー付近に追い詰められながらも「飛び込んできてくれたのでチャンスかなと」鮮やかな股抜きドリブルでDF2人を置き去りにしてみせる。

 会場がこの日最も盛り上がった突破から放った右足シュートはGKがセーブ。「股抜きしたくらいから(本気になって)強めに来た」オーストラリアDFに背後からユニフォームを掴まれ、バランスを崩されるようなシーンもあった。だが、“元祖・技巧派軍団”静岡学園仕込みのテクニックとアイディアを披露し続ける神田は、その後もDFの股間を通すパスやスルーパスでチャンスメーク。前半はボールロストすることも幾度かあり、試合はPK戦で敗れたものの、その存在感はピカイチだった。

 今大会初戦のU-18パラグアイ代表戦では交代出場で攻撃のリズムを変え、相手の意表を突くパスを連発。PK戦でチップキックを決めたことも話題になった。「憧れのところ」と語るU-18日本代表との一戦ではボールに触れる機会が少なく悔しい結果に終わったが、小柄でも世界相手に戦えることを証明するような大会に。本人も自信を深めた様子だ。

「(オーストラリア戦で)個人的には“静学らしさ”は出せたかなと思ったんですけれども、前半の中盤で失う部分があったのでそういう簡単なミスがなくしていけたらもっと良くなると思います。フィジカル面では勝てる部分が少ないと思うんですけれども、下の、足元の技術では通用した部分はあったので自信になった。(会場を沸かせるプレーは)静学だからできることだと思うので、これからももっと磨いていけたらなと思っています」

 小さな体でも世界を相手に戦えることを証明した静学のテクニシャン。積み重ねてきたことに自信を持って、より精度を追求していく。県選抜チームで活躍しても静岡学園でのポジションは安泰ではないだけに、まずは競争を勝ち抜いて選手権へ。「自分的には全国で勝つよりも静岡県突破するほうがキツイと思う。選手権に出たいのは絶対なので、チームに戻って頑張りたいです」。全国大会に出場すれば、かなり楽しみな異才。今冬は必ず全国舞台で、その技を魅せる。

(取材・文 吉田太郎)
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