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あの頃とは違う…DF立田悠悟「ミスしたときは引きずっていた」

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U-21日本代表DF立田悠悟(清水)

[8.27 アジア大会準々決勝 U-21日本2-1サウジアラビア ボゴール]

 不運な失点だった。1-0と1点をリードして迎えた前半39分。右サイドを崩されて、DFユーシフに放たれたシュートはGK小島亨介(早稲田大)が足で阻んだものの、跳ね返ったボールがU-21日本代表DF立田悠悟(清水)に当たる。ボールはそのままゴールマウスに吸い込まれ、同点となるゴールを献上してしまった。

 回避するのは難しかっただろう。しかし、失点は失点。厳しい表情を見せた立田だったが、すぐさま視線を上へと向けた。「ああいうことがあっても、リカバリーできる能力はJリーグで備わってきている」と語ると、一つの経験が自らを成長させたと続けた。それは、1月に中国で行われたAFC U-23選手権準々決勝のウズベキスタン戦だった。

 1点をリードされて迎えた前半34分、MF井上潮音(東京V)のバックパスをゴール前で受けようとするも、寄せていた相手にボールを奪われて追加点を決められた。当時は「自分がミスしたときはずっと引きずっていた」ようだが、今は違う。「自分の中でリカバリー能力が上がっていると思うし、前向きに考えて引きずらずにやれた」と、すぐさま切り替えてピッチに立ち続けた。

 3バックの中央に入り、体を張った守備で相手攻撃をはね返し続ける。サウジアラビアの前線には、決勝トーナメント1回戦中国戦でハットトリックを記録したFWカマラが構えていたが、激しく寄せて簡単には前を向かせない。さらに後半9分にはカウンターからカマラにPA内まで運ばれ、絶体絶命の危機を迎えるが、必死に戻った立田が体を投げ出すようなスライディングでクリアして得点を許さなかった。

 サウジアラビアに勝ち越しゴールを許さない守備陣の踏ん張りに応えるように、後半28分にはFW岩崎悠人(京都)が決勝点となるゴールを叩き込み、2-1の勝利を収めたチームはベスト4進出を決めた。

「あれで負けていたら、自分持ってないなと(笑)」とおどけつつも、「まだまだモチベーションを高く持ち続けているし、チームとしても優勝したい気持ちが強いので、次勝たないと意味がない」と表情を引き締め、中1日で行われる準決勝UAE戦へと向かう。

(取材・文 折戸岳彦)
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