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“ガラガラ声”大分指揮官に急展開…のど飴企業とクラブを繋いだサポーター奇譚

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のど飴を手に指揮を執る大分トリニータの片野坂知宏監督

 J2第30節が行われた今月25日、徳島ヴォルティス戦に臨んだ大分トリニータ片野坂知宏監督は『のど飴』が入った缶を抱えながら指揮を執っていた。それだけでも十分に奇妙な姿ではあるのだが、その背景にはアクシデントが好機に変わった不思議な縁があった。

 話はさかのぼること今月18日、片野坂監督はとある事件に直面していた。第29節東京ヴェルディ戦の前半5分ごろ、とつぜん声が嗄れて出なくなってしまったのだ。「選手にも指示が通らなくて……」。サポーターからのど飴やスプレーを借りて急場をしのいだが、ガラガラ声で現れた会見場でも苦笑いを浮かべるしかなかった。

 しかし、事態はここから思わぬ展開を見せることになる。

 とある大分サポーターの一人が21日、ツイッターで「浅田飴さんが大分トリニータをスポンサードしてくれたら、片野坂監督の前半5分で喉が枯れる、サポーターにのど飴を貰いにハーフタイムゴール裏にスタッフが走るって無くなると思うの」と投稿。これにのど飴の老舗として知られる浅田飴公式アカウント(@seki_koe_nodo)が反応した。

「でもお高いんでしょう……」
「指示も応援も声が命ですものね……」

 そんなジョークを交えたやり取りがきっかけとなり、サポーターを巻き込んで話題が加熱。「コラボ商品とかなら始めやすいのでは」「大声コンテストイベント」など様々なアイデアが出され、浅田飴アカウントも「『声』に関わる文化や活動を応援する弊社といたしましても、応援や指示、声出しなどでお役立ていただければ幸い」と協力を述べていた。

 そして翌22日、大分トリニータの公式アカウント(@TRINITAofficial)がさらなる展開を報告。「ひらめきツイートと浅田飴の公式さまが反応してくださったおかげでなんと明日弊社営業担当が浅田飴さまにご挨拶にうかがえることになりました!!!」と明かし、「このご縁が続きますように……」と進展を見せていた。

 最初の投稿を行ったヨタちゃん(@aka39291)さんは「本当に思いつきでぼんやりとつぶやいただけ」だったそうだが、思わぬ展開に「大分FCさんに東京事務所ができたことは知っていたのですが、ここまで仕事は速いと思いませんでした」とビックリ。「浅田飴さんにも感謝です」と心境を振り返っている。

 また大分のアカウントは徳島戦当日の25日、浅田飴から大量の『薬用のど飴』が送られてきたことを投稿。「急遽お送りしてよいですか?とご相談した」(浅田飴アカウント)と現状では正式なスポンサードではないようだが、そうして届いた浅田飴がピッチ脇で指示を出す片野坂監督の手に渡っていたようだ。

 大分の公式サイトによると、指揮官は試合後「おかげさまで最後まで声が嗄れることなく指示を出すことができて感謝しています。浅田飴、もう手放せなくなりました」と温かいコメント。浅田飴アカウントが「まさかピッチで持って下さるとは思ってもおらず、社内もざわついております……笑」と反応し、良好な関係をうかがわせている。

 企業とクラブをつなぐ“立役者”となったヨタちゃんさんは『ゲキサカ』の取材に対し、「両者にとって良い形で続いていってもらえたないいなと思います。最初につぶやいたのは私ですが、他のサポーターやファン、他のクラブのサポーターさんがRTやふぁぼで繋いだご縁だと思うので。個人的には薬用浅田飴のトリニータ缶、ニータン缶がコラボで出てくると嬉しいです」と今後に期待。サポーターがつないだ“ご縁”を今後も温かく見守っていきたいところだ。

(取材・文 竹内達也)
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