beacon

難しいからトライする。ブラサカ日本代表を目指す元ラガーマン、神谷考柄のポリシー

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本代表入りを目指すFP神谷考柄

 ブラサカ東日本リーグが2日に開幕した。創部3年目のGLAUBEN FREUND TOKYOのFP神谷考柄が力強い突進を見せ、後半15分に値千金の決勝ゴール。日本代表のFP寺西一もいる松戸・乃木坂ユナイテッドを振り切り、日本代表入りも猛アピールした。

「去年は結果を出せなかった。今年は1試合1試合勝ちにこだわりたい。ウチの弱点は点をとること。そこをこだわりたい。得点は自分が中心なので、1個1個のプレーを大事に、確実性を求めたいです」

 昨年は東日本リーグBグループ3試合で2試合が完封負け。背番号10を背負う神谷がその決定力不足を解消したい、という思いが強い。

1歳の時にくも膜のう胞という先天性の脳の病気によりシャントチューブを入れる手術を受け、4歳のときに視力を失った。右目は光を感じる程度で左の視力は0.02。今も目が悪くなった原因はわからないという。

「これからも進行はするかもしれませんが、回復はしないそうです。でも自分の中の印象は見えないことが普通でずっと過ごしてきて、その中でもやれることをやりたかったし、できないことをできるようにするようにして生きてきました」

 170㌢、92㌔。サッカー選手の中でもかなりゴツい。中学、高校とラグビーをやっていた。ポジションは左プロップ。スクラムの最前線で相手と押し合う攻防は激しく、猛タックルを受けると大けがにつながったり、命の危険にさらされることだってある。

「パスを受けるときも、ボールが胸に当たってから取るイメージ。ハンズアップして前に出した手にタイミングよくはまることはなかったです。だから両親からはメッチャ反対されました。でも『どうしてもやりたいことを見つけた』と言って無理やり説得したんです。当時から体はデカくて、ラグビーは自分に一番あっているように感じたんです」

 住んでいた大阪府はラグビーがさかん。高校は東海大仰星や常翔学園など、毎年全国制覇を狙える私立の強豪が複数ある。そんな中、進学した公立高校の日新高校のラグビー部はできたばかり。それでも3年時に創部3年目でベスト4まで進み、準決勝で敗れた大阪桐蔭高が花園に出場した。

「結局、下からのぼっていく感覚が好きなことが今でも生きている気がします。筑波技術大学に進学後、ブラインドサッカーをはじめたのも、目隠しをしてサッカーをしてみて『難しいな』と感じたことで、本腰を入れてやってみたいと思った。このチームが2015年に発足するときにすぐに別のチームから移ることを決断したのも、そういう生き方が好きだからです」

 チームの勝利を目指しながら、個人として日本代表入りも目指す。代表の主将、FP川村怜とは出身高校が同じだ。先輩と一緒にプレーする日を夢見て、神谷のトライはまだまだ続く。 

(取材・文 林健太郎)

●障がい者サッカー特集ページ

TOP