beacon

[MOM545]大阪学院大MF杉山蒼太(3年)_ワクワクさせるタイプのドリブラー

このエントリーをはてなブックマークに追加

大阪学院大のMF杉山蒼太

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.3 第42回総理大臣杯2回戦 日本文理大 1-2 大阪学院大 ヤンマーフィールド長居]

「仕掛けたら何か起きるし、点を獲る意識は人一倍強い」。GK齋藤和希(4年=C大阪U-18)がそう評するように大阪学院大(関西1)のMF杉山蒼太(3年=大阪産業大付属高)はボールを持ったら見る人をワクワクさせるタイプのドリブラーだ。

「スピードやキレはないから、強さを活かしながらドリブルをしていく」と自己分析するように武器は”ゴリゴリ”と表現がよく合う力強いドリブル。この日もボールを持ったら縦を仕掛けることで、サイドからチャンスを伺った日本文理大(九州2)を押し返した。

 最初に杉山の見せ場が訪れたのは前半28分だ。左CKをMF川崎健太郎(2年=名古屋U18)がゴール前に展開するとゴール前で反応。低く入ったボールを「ニアの選手が逸らすのが分かったので、そのまま当てるだけだった」と冷静に左足で合わせて均衡を崩した。「良い形で先制できたのが良かった」との言葉通り、先制点によって初戦の堅さがとれた杉山は40分にも右サイドからのゴール前にパスを送り、FW見野龍太郎(2年=東海大付属仰星高)のシュートを引き出すなど攻撃のポイントとして機能し、前半を終えた。

 後半に威力を発揮したのは、「絶対に負けたくないと意識している」という球際の強さだ。後半12分には右サイドの高い位置でボールを奪うと中央に切れ込み、FW井上泰斗(C大阪U-18=3年)にパス。井上から素早く繋げたMF和田幸之佑(3年=久御山高)のシュートはDFに阻まれたが、右サイドでDF生藤弘樹(4年=滝川第二高)が拾うと、ラストは見野がゴールネットを揺らした。

「終盤にボール保持できず相手に押し込まれるのがいつもの課題」と悔やむように、この日も残りわずかとなってからは相手に押し込まれる場面が増加し、一点を返された。杉山自身も「後半はボールを保持できなくなった」ため、88分にMF和田広矢(2年=和歌山北高)と交代したが、2得点ともに絡み、勝利への貢献度は高かったのは確かだ。

 総理大臣杯は杉山にとって、出直しを誓った大会だ。ルーキーイヤーから出場機会を掴み、今年に入ってからも順調にスタメン出場を重ねてきたが、関西選手権後に行ったガンバ大阪との練習試合で、自陣から仕掛けたドリブルを相手に奪われて失点を許した。相手エリアでの仕掛けは歓迎されるが、テーマとして失点の削減を掲げるチームにとって、リスクのあるプレーは許されない。「戦術通りにプレーできるようになるかを見ていた」(藤原義三監督)ため、Aチームでの出場機会を失った。

「絶対にAチームに戻ろうと信じてやっていた」と振り返る杉山は禊の期間中に自身のプレーを見直し、自陣ではシンプルにボールを叩きつつ、高い位置で仕掛けることを意識した。同時により力強いプレーができるよう筋トレにも着手。「よくやく良いプレーができるようになってきた」(藤原監督)と判断されたため、この日の出番を掴み取った。2得点に絡んだものの、ボールを失うシーンも目に付き、本人も反省の弁が口にしたように、本当の活躍はまだこれから。「どんな形でもプロになりたいので、今大会はいつも以上に意識している。この大会でちょっとでも成長して、後期のリーグ戦で活躍し、チームを支えられる選手になりたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
●第42回総理大臣杯特集

TOP