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一戦必勝の精神…夏場の遠征で力つけた中京大が4強入り快進撃

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中京大の快進撃が続いている

[9.5 第42回総理大臣杯準々決勝 中京大 3-1 専修大 キンチョウスタジアム]

 夏の大学日本一を決める第42回総理大臣杯は5日に準々決勝を実施。キンチョウスタジアムで行われた中京大(東海3)と専修大(関東6)の対戦は3-1で中京大が勝利した。

「僅差のゲームになるかと思っていた」。主将のDF村瀬大地(4年=岐阜工高)が戦前に予想した読みは良い意味で外れ、試合の序盤は中京大がペースを掴んだ。

 中京大は開始と共に高い位置からのプレスが機能。相手コートでの時間が続くと、前半8分には右サイドから繰り出したMF市川兼伍(4年=中京大附属中京高)のパスからFW大城佑斗(4年=中京大附属中京高)がシュート。ゴール前で混戦になった所を、FW東家聡樹(3年=福岡U-18)がスライディングで決めて、先制に成功した。同24分には左CKのこぼれ球をMF及川純平(4年=磐田U-18)が押し込み、リードは2点に。以降も、市川の右クロスから大城がボレーでゴールを狙うなど専修大を圧倒し、試合を進めて行く。

 右クロスを東家が決めた前半31分の3点目は、「こっちがビックリするほど」(永冨裕也監督)理想的な形で生まれたもので、中京大が勝利を確実な物にしたかと思われた。しかし指揮官が「3点目を獲った後に自分たちの重心が後ろになってしまった」と反省したように、リードを守ろうと意識が強くなりすぎ、機能していた前からの守備ができなくなる。主導権が専修大に移ると、同43分にはスピードを活かしたFW中山克広(4年=麻布大付属高)のクロスからFW下田悠哉(4年=三菱養和SCユース)にヘディングシュートを決められてしまう。

 同じ東海代表の東海学園大(東海2)は初戦で、前半1-3から逆転勝ちをおさめている。まだ、2点のリードがあるとはいえ、指揮官が「前半を3-0で終えるのと、3-1で終えるのは違う。まだ逆転される可能性があった」と口にしたように安心できるスコアとは言い難いのが現実だ。ハーフタイムに永冨監督が「自分たちの良さはボールを前から追いかけることだ。引いてしまうと守り切れない」と伝えたことで基本に立ち返った中京大の選手は、後半に入り、大城を起点とした前方からのプレスを再徹底。自陣では、交代で入ったMF葛谷将平(4年=大津高)とMF安野蓮(1年=広島観音高)を中心としたボール回しに圧倒されたが、守備の集中を切らさず、追加点を与えない。

 後半32分に大城のパスから市川が迎えたチャンスは活かせなかったが、2点のリードを保ち、3-1でタイムアップ。永冨監督は「専修大学さんは凄く上手くてボールを動かされたけど、選手が粘り強く戦ってくれた」と選手を称えた。

 東海リーグは前期終えて、4位。総理大臣杯も第3代表での出場と今季は苦戦が続いてきた。浮上のきっかけを掴んだのは大会が間近に迫った8月。金沢遠征に出向き、1日4試合を実施した他、その後にも今大会に出場している法政大や桃山学院大と練習試合をすることで、「レベルが上がった所での強度を求めてきた」(永冨監督)。

「夏の厳しいことをやってきた成果が出ているし、試行錯誤しながらミーティングしたのも生きている。大会に入ってからは試合を重ねるごとにチームの雰囲気が良くなっている」と話すのは村瀬。苦しい時期を乗り越え、ノビノビとプレーできていることが8年ぶりのベスト4進出に繋がっているという。中1日で迎える準決勝は4戦目とあり、「次は気力と体力がどこまで回復するか」(永冨監督)がポイントになるが、勢いのある今の状態なら十分にチャンスはあるはず。「ここ数年ベスト8の壁を破れず、上に進めてない。今回も東海の3つ目の枠なので、僕らはチャレンジャー。上ばかり見ても仕方ないが、一つひとつしっかり戦えば、今日のような結果が出る」と指揮官が続けたように一戦必勝の精神を貫き通す。

(取材・文 森田将義)
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