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[MOM546]大阪体育大MF堀内颯人(4年)_指揮官も絶大な信頼を寄せるキーマン

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MF堀内颯人の存在感が光る

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.5 第42回総理大臣杯準々決勝 大阪体育大 3-2 駒澤大 キンチョウスタジアム]

 この日対戦した駒澤大と同じく、縦に速い攻撃が大阪体育大の伝統だったが、今年の攻撃はいつもと少し違う。奪ってから素早く前への推進力に長けたMF末吉塁(4年=初芝橋本高)やFW林大地(3年=履正社高)に預けるだけでなく、ゆっくりとボールを繋いでコンビネーションから崩すこともできる。状況に応じた緩急の使い分けができるのは、松尾元太監督が「彼は攻撃を速くもできるし、遅くもできる。速さがある選手がより活きる状況を作れる」と信頼を寄せるMF堀内颯人(4年=奈良育英高)がいるからだ。

 初戦となった2回戦の福岡大(九州1)に続き、前半に堀内が意識したのは攻撃ではなく、守備だった。立ち上がりに失点することが多かった今季の反省を活かし、「僕たちの良い所は、まず守備からという所。ボールを奪えないと攻撃できないので、良い守備から良い攻撃に繋げようと意識していた」。開始と共に徹底した駒澤大のロングボールをDF菊池流帆(4年=青森山田高)と田中駿汰(3年=履正社高)のセンターバックコンビがきっちりと跳ね返し、堀内とMF平田健人(4年=星稜高)がこぼれ球を回収していく。

 奪ってからは「相手は蹴ってくるチームだったので、自分たちも同じようにするのは避けたかった」と地上戦での戦いを選択。セカンドボールを確実にアタッカー陣の足元に配球し、攻撃のリズムを作った。

 堀内に攻撃の色が出始めたのは、延長戦に入ってからだ。本来はボランチの選手だが、福岡大の終盤戦から相手ボランチに対する守備を期待され、トップ下としてもプレー。「練習でもやったことがないポジション」ながらも期待通りの守備を見せながら、持ち味である散らしで攻撃のリズムを作った。すると、延長後半8分には左サイドから放ったFW浅野雄也(4年=四日市四郷高)のシュートが相手GKのファンブルを誘発。セカンドボールが堀内の下へと転がってきた。

 大阪学院大(関西1)と対峙した関西選手権の決勝でも同じ状況を経験しているが、この時はシュートがGKの正面に。そしてその後のPK戦で敗退。「今度こそは決めなアカン」と冷静に狙ったシュートがゴールネットを揺らすと、このゴールが決勝点となった。

 勝利の立役者となった堀内だが、これまでは日の目を見る選手ではなかった。大体大に入ってからの主戦場はIリーグで、「ずっとAチームでプレーしたい気持ちがあったので、Bチームの中でもAチームに劣らない力をつけようと考えながらやってきた」。そうした努力が買われ、今年に入ってから主力に定着。「能力が高い選手が多いけど、自分は個がないので、周りを活かせるパスを意識している」と話す彼の存在は、今では欠かせないほどになっている。

 2試合続けて延長戦を経験したが、厳しい試合を制したことは自信になっている。「負ける気がしない。今年のチームが立ち上がってから、タイトルを獲ろうと言い続けている。自分たちが勝つだけでなく、後輩たちに何かを残したい」と話したように、堀内と大体大の活躍はまだ終わらない。

(取材・文 森田将義)
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