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[MOM547]中京大MF大城佑斗(4年)_驚異の運動量、ボールのない所で沸かせることができる選手

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驚異の運動量で魅せるMF大城佑斗

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.5 第42回総理大臣杯準々決勝 中京大 3-1 専修大 キンチョウスタジアム]

 ボールに関わる場面でスタンドを沸かせる選手はいるが、ない所で沸かせる選手はそれほどいない。この試合で印象的だったのは、中京大MF大城佑斗(4年=中京大中京高)がボールを追いかける度に応援団が湧く場面だ。

 試合が終盤になるにつれ、「大城ハンパないって!」との声が聴こえ始めたのも無理はない。初戦は後半のアディショナルタイムにピッチを退いたが、以降は90分間フル出場。その圧倒的な走力は、主将のDF村瀬大地(4年=岐阜工高)が「この3試合の運動量は本当に凄い。選手の中で『どれくらい走るの!?』と話題になるくらい90分間タフに走れている。体格で劣る選手にも競り負けないし、前からあれだけ守備に行ってくれると後ろも助かる。チームには欠かせない存在になっている」と称える程だ。

 本来はサイドハーフの選手だが、格上との対戦が続く今大会は、前線からの守備が欠かせないと判断され、2トップの一角を担っている。本人も自分に何が求められているかを理解しており、「走力には自信があるし、チームのテーマとしても走りがある。一番先頭の選手である自分が誰よりも走れば、他の選手も走れるようになる」とチームのペースメーカー役として試合開始と共に猛ダッシュを繰り返した。

 この日はこれまで2試合同様、DF裏への飛び出しを狙っていたが、相手の対策は万全だった。大城が飛び出すと相手センターバックが下がって行くことを逆手にとり、生まれた後方のスペースをチームメイトが活かす形で見せ場を作った。チャンスが来れば自らも積極的にゴールを狙い、前半27分にはMF市川兼伍(4年=中京大中京高)のパスからボレーシュートを放ったが、枠を捉えることができなかった。

「ああいう所が力不足。もっと上のレベルに行けば決めなければいけない場面」と悔やむ程のビッグチャンスを物にできなかったが、31分には自身のパスを起点にチーム3点目が生まれた。

 相手に押し込まれる時間が増えた後半は、豊富な運動量で前線からのプレスを徹底。スペースにボールが出ると全力で追いかけ、苦しむチームに勇気を与えた。試合終盤になっても彼の走りは衰えず、後半32分には中央をドリブルで突破。相手の視線を引き付けたタイミングでフリーの市川にボールを預けたが、このシュートは枠を捉えることができなかった。連続ゴールは2でストップすることになったが、指揮官は彼のプレーを高く評価。「最後までハードワークしてくれる。今日はゴールが無かったけど、相手にとって嫌なことをやり続けることができ、欠かせない存在」と称えた。

「この大会に全てをかけている。スカウトの目に留まるんだと意識しているのが良い形になっている」と話すように、卒業後のプロ入りを狙う大城にとって、総理大臣杯は就活の場だ。これまでは全国大会に出ても早期敗退が続き、自身の名を売る機会がなかったこれまでとはわけが違う。準決勝まで進み、2試合連続ゴールを奪っている今年はプロ入りを掴み取る絶好のチャンスと言える。「ここまで来たら、プロになれる可能性は高まっていると思うので、プロのスカウトの目に留まるプレーがしたい」と意気込むように準決勝以降も持てる力を存分に見せつけ、自らの未来を切り開く。

(取材・文 森田将義)
●第42回総理大臣杯特集

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