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[MOM2607]帝京MF中島涼太(3年)_遅れて台頭してきた快足ドリブラー

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名門・帝京高の攻撃に推進力をもたらしているMF中島涼太

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.8 東京都1部L第14節 帝京高 3-2 実践学園高 帝京大学グループ千住総合G]

 注目世代の帝京高で遅れて台頭してきた快足ドリブラーが、チームにとって大きな力となっている。この日、右MFとして先発した中島涼太(3年)は抜群のスピードと馬力ある突破で実践学園高の驚異に。前半はマッチアップした主軸WB山内稔之(3年)に体ごと止められるシーンもあったが、それでも力強い突破で存在感を示していた。

 2-1の後半14分には勝負の行方を傾けるビッグプレー。速攻から右サイドでボールを受けると、ファウル覚悟で止めに来た相手を強引に打開して、エンドライン近くまで切れ込む。最後はラストパスをFW佐々木大貴(3年)が難なく右足1タッチでゴールに押し込んで2点差とした。

「1対1でスピードに乗っていたので行くしか無いと思って行きました。あの8番(山内)の選手も結構ガツガツ来ていて前半止められていた。選手権でもやるんで、(ナメられないように)行かないといけない」。その後も隙あればスピードを発揮していた中島に対し、実践学園は良い体勢でボールを持たせないように人数を割いて守るしかなかった。

 相手に「止められる」という印象を与えたまま終わるのではなく、仕掛けて“危険”な印象を与えることに成功。「できるだけ積極的に仕掛けることがチームのためのプレーになるので、仕掛けることを意識しています。自分の武器はスピードで縦に行くことだと思っているので、きょうは貢献できたと思います」と勝利に大きく貢献したことについても胸を張っていた。

 中島は中体連の石神井中出身。トレセン活動で帝京と試合した際に評価されて進学することが決まった。中学の部活動は引退が早かったが、高校進学までの間に自宅前の坂道をひたすらダッシュすることで下半身を強化してスピードが増した。

 それでも、帝京ではFC東京の育成組織出身のMF三浦颯太(3年)や佐々木といった同学年のタレントが1年時からトップチームで出場するところを悔しい思いを持ちながら見つめ、追う存在だった。2年時はBチームで、3年生が引退した後の12月に前十字靭帯を負傷。最後の選手権に間に合うように保存療法を選択し、我慢しながら地道に努力を続けて夏前からようやくチャンスを掴んだ選手だ。

 現在は日比威監督や松澤朋幸コーチが好調を認め、「攻撃だけでなく、守備でもよく戻ってきてくれる」と信頼する存在に。1年時から注目されてきた三浦や佐々木にマークが集中する中、対戦相手の新たな脅威となっている。課題の得点力を向上させて選手権でさらに爆発するか。中島は「状態は良いと思う。これから選手権も始まるのでゴールにもこだわっていきたい。このチームで全国制覇するというのは入ってきた時からみんなの共通の目標なので、それに向けて自分も貢献できたらいい」。努力で磨いてきた才能が、帝京選手権復帰への切り札となる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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