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昨年も一昨年もサッカー部から東大へ。神奈川の進学校・湘南がV候補苦しめる

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前半21分、CB山内涼太郎が先制ゴール

[9.22 選手権神奈川県予選2次2回戦 東海大相模高 3-2 湘南高 かもめパーク]
 
 神奈川県で1、2を争う公立進学校であり、昨年も一昨年もサッカー部から東京大へ進学した生徒を輩出している湘南高が、V候補の一角を大いに苦しめた。選手権出場6回、第1回国体優勝の伝統も持つ湘南はこの日、関東大会予選優勝校の東海大相模高にチャレンジ。立ち上がりを1年生GK開發淳の好セーブによって凌ぐと、その後は徹底した守備で東海大相模の前に立ちはだかった。

 ボールを支配されても動じず、中に入ってきたところで相手を挟み込む。サイドを突破され、クロスに持ち込まれたり、シュートまで持ち込まれたりするシーンもあったが、ゴール前で高さを発揮するなど要所を締めて得点を許さない。

 勝負に徹した湘南は守備を固め、攻撃でもリスクを負わないことを最優先。その上でFW吉田知史(3年)が幾度かボールを収めた際などスピードのある攻撃を繰り出した。前半21分には右MF神山歩夢(3年)がドリブルシュートにチャレンジ。これで得た左CKをMF英翔太(3年)が右足で蹴り込むと、ファーサイドの182cmCB山内涼太郎(3年)が豪快なヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。

「一つ一つのところは相手の方が上」(竹谷睦監督)という東海大相模に対し、我慢強い守りから優位性のあった高さを活かしてセットプレーでリード。湘南は30分にも吉田と英のコンビで左サイドを崩し、そのクロスにFW秋山勇太郎(3年)が飛び込むなど狙い通りの試合運びで前半を折り返した。

 だが、後半7分にPKを与えて追いつかれるとその4分後にも狭いスペースを崩されて失点。この連続失点と、1-3とされたあとに幾度かあったチャンスをなかなか活かせなかったことが悔やまれる。

 それでも、ファインセーブを連発した開發や山内を中心に2点差のまま食い下がり、CB鈴木康正(3年)を前線に上げた終盤は気迫の攻撃。サイドでの縦突破やロングスローなどで相手にプレッシャーをかけると、終了間際にはゴール前の攻防で続けて競り勝ち、最後は吉田と山内がゴール前に飛び込んで執念のゴールを決めた。竹谷監督も「あれは湘南っぽい」と評した執念の一撃。「ああいう気持ちで後半最初から行ければ」(竹谷監督)という部分ももちろんある。2-3で悔しい敗退となったが、それでも強豪相手に公立の進学校が見事な戦いを見せた。

 文武両道の湘南は、「選手権までサッカーを続ける」覚悟を持っている選手のみがサッカー部に加入するのだという。選手権全国決勝まで勝ち上がることを想定し、限られた時間を有効に使いながら勉強とサッカーを全力で両立。3年生たちは今年もインターハイ後に引退することなく、選手権までサッカーを全力でやり抜いた。
 
 2年に一度のスペイン遠征などサッカーも勉強にも本気で取り組む湘南。昨年は優勝した桐蔭学園高と2-3の熱戦を演じ、今年も優勝候補の一角を苦しめた。先輩たちの熱い戦いをピッチサイドで見た後輩、またピッチでともに体感した後輩たちは、彼らに負けない日々を過ごして来年は一つでも上へ勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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