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打倒私学勢、神奈川制覇誓う座間、苦戦のスタートも8年ぶりの目標達成へまず1勝

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座間高が人数をかけた守備で相手ボールを奪い取る

[9.22 選手権神奈川県予選2次2回戦 座間高 1-0 鶴見大附高 横山公園]

 神奈川の“公立の雄”が2度目の全国出場に挑戦する。第97回全国高校サッカー選手権神奈川県2次予選2回戦第1日が22日に行われ、座間高がFW岩田凌(3年)の決勝点によって1-0で鶴見大附高に勝利。座間は10月20日の3回戦で厚木北高と戦う。

 この日、決勝点を決めた座間の岩田は「私立に負けたくないですし、自分たちが頂点に行くと思ってやっている」と語り、主将のDF古澤大輝(3年)は「(公立でも)頂点を狙えると思っている。今シーズンは関東もインターも良い結果を出せなくて、リーグ戦も下の方。残っているのは選手権で全国行くという目標一つなので、そこまでは負けたくないです」と力を込めた。

 座間は過去10年の選手権予選で4強3回、準優勝2回、そして10年度の選手権では全国初出場を果たしている。80年代など公立優勢の時期もあった神奈川だが、過去20年の選手権出場は8年前の座間のみ。それ以外は、桐光学園高や日大藤沢高、桐蔭学園高など全国区の強豪私立校に行く手を阻まれてきた。

 今年も桐光学園がインターハイで全国2位と躍進し、三浦学苑高も全国8強。関東大会には東海大相模高、日大藤沢が出場しており、私立の壁は今年も厚い。その中、強い気持ちで全国へのチャンスを伺っている公立校の一つが座間だ。

 この日はサッカーとフットサルの両方に取り組み、初めて選手権1次予選を突破した鶴見大附と対戦。ボールコントロールに長けた選手の多い鶴見大附はFW庄登央威(2年)やMF石川晧平(3年)らが臆することなくドリブル、縦パスにチャレンジしていた。

 前半26分にはこぼれ球を拾った石川が左足ミドル。枠を捉えた一撃は座間GK矢吹和也の好セーブに阻まれたが、堅守・座間のゴールを脅かして見せる。対する座間は相手を挟み込んでボールを奪い、後方からビルドアップするものの、大事に攻めることを意識し過ぎたか、やや後ろに重い展開となってしまう。

 それでも30分、座間は前線でパスを受けた岩田が絶妙なターンでDFを外して左足シュート。強烈な一撃をゴール右隅に突き刺して先制した。その後もチャンスを作った座間だが、シュートがGK正面を突くなど2点目を奪うことができない。

 神奈川県2部リーグに在籍する座間は普段、守備的な戦いで勝ち点を獲得。だが、選手権予選では主導権を握る試合も想定されるため、OBで就任4年目の佐藤英幸監督は「ボールを大事に、見て、判断するというところでやってきました」という。ただし、この日は「アタッキングエリアでのチャンスの作り方が課題。もうちょっと相手を見て主導権取れれば」と指摘する内容となった。

 警戒されているところへ攻めてボールを失ったり、慌ててボールロストしたりするシーンが多発。後半立ち上がりにはFW大塚仁斗(2年)が左サイドでの縦突破から決定的なクロスを上げ、11分には左WB北村凛(2年)がドリブルでDFを剥がしてPAまで持ち込み、ポスト直撃の右足シュートを放った。また、交代出場のMF田代裕也(3年)の精度の高いキックを活かしてセットプレーからチャンスも作ったが、流れの中での攻撃は噛み合わない展開に。鶴見大附GK土屋佑史郎(3年)の気迫のセーブやDF陣の身体を張った守りもあって2点目は奪えず。座間は古澤を中心に要所を封じて勝ち切ったが、コーチ陣も選手にも満足感はなかった。

 インターハイ予選では日大藤沢に延長戦の末に惜敗。粘り強さに定評のある座間だけに、ここから続くであろう紙一重の戦いをものにし続けられるかが目標達成へのカギとなる。佐藤監督は「10月、11月は一戦必勝です」と語り、古澤は「ここからの相手はどこも自分たちよりも上の相手だと思っているので、チャレンジャー精神を持って日々の練習で特に決定力と粘り強さを意識してトレーニングしていきたいです」と力を込めた。インターハイ予選では同じ公立勢の厚木北が4強。同じブロックに入ったライバルや私立勢を突破して“公立の雄”としての意地を見せる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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