beacon

攻守に注目選手擁し、13年ぶりの全国狙う成立学園が選手権予選へ弾み。國學院久我山に3発逆転勝ち!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半9分、MF八木橋俊介(中央)のゴールを喜ぶ成立学園高イレブン

[9.23 都1部L第16節 國學院久我山高 1-3 成立学園高 國學院大學たまプラーザキャンパスG]

 23日、高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ 東京(Tリーグ)1部第16節の國學院久我山高成立学園高戦が行われ、成立学園が3-1で逆転勝ち。首位を奪還した。

 選手権で13年ぶりとなる全国出場を目指す成立学園が、インターハイ全国16強の國學院久我山に逆転勝ちした。序盤、試合の主導権を握ったのは、國學院久我山の方。ボールの握り合いで完全に優位に立った國學院久我山は、ともに存在感を放ったMF高橋黎(3年)と1年生MF大窟陽平のラインから決定機を生み出す。

 対する成立学園はJ注目CB照山颯人主将(3年)が余裕あるボールをコントロールから相手のプレスをいなして前進。彼やMF大野秀和(3年)の縦パス、サイド攻撃から、フィニッシャーの快足エースFW窪田稜(3年、金沢内定)やMF八木橋俊介(3年)がゴールを狙う。18分にはショートカウンターから一気にDFを振り切った窪田が左足シュート。これは右ポストを叩いたが、やや押し込まれる展開の中で一発があることも示していた。

 先制点は流れよく試合を進める國學院久我山が奪った。21分、高橋を起点にボールを動かし、大窟が右サイドへ展開。そして、FW戸坂隼人(2年)のクロスをエースFW宮本稜大(3年)が頭でゴールネットに突き刺した。

 成立学園も窪田の快足などを活かしてチャンス。27分には左クロスに右FW高木健匠(3年)が思い切りよく飛び込み、43分には右サイドを独走した窪田がそのまま決定的なシュートを放つなど攻め返す。一方、國學院久我山はミスが増えて隙ができつつあったが、GK生垣海渡(3年)の好守もあってリードを維持。そして高橋のスルーパスから宮本、大窟が決定的なシュートを放つ。

 それでも、照山が「押し込まれる展開だったんですけれども、守備陣は普段から点を獲られないことを意識していてそれが出たと思います」と振り返ったように、1点差のまま試合を進めた成立学園がエースのスーパーゴールで流れを一変させた。後半4分、照山のロングフィードを左サイドで受けた窪田が、DFを背負った状態から一瞬の加速でその距離を広げて前を向く。そして、ニアサイドへドライブ回転のかかった右足ミドルを突き刺した。

 ピッチサイドにいたチームメートからもどよめきの声が起こったほどの一撃で追いついた成立学園はさらに9分、右クロスを逆サイドで拾ったMF後藤樹(3年)が縦に仕掛けてクロス。これを中央でゴールを背にした窪田が後方へ落とし、八木橋が右足シュートを叩き込んだ。元千葉DFで就任1年目の五十嵐和也監督は「思い切ったシュート、思い切った動きのところはトレーニングしてきている。ボックスの中で強みを出せた」と語っていたが、前半から見せていたシュートへの積極性が逆転に繋がった。

 成立学園はその後も前からのディフェンスで相手のパスワークを封鎖。國學院久我山は19分にFW山下貴之(2年)の突破からラストパスを交代出場FW山本献(2年)が1タッチで合わせたが、シュートはクロスバーを叩いてしまう。

 逆にショートカウンターがハマっていた成立学園は23分、速攻からMF原田歩夢(3年)のスルーパスで抜け出した高木が右足で決めて3-1。國學院久我山は成立学園の前線からのアプローチに苦戦し、集中力を欠いたプレーも増えて失速した。対して成立学園は終盤も窪田がビッグチャンスを作り出すなど攻め続けて快勝。悲願の選手権出場とプリンスリーグ関東昇格へ弾みをつけた。

 成立学園の五十嵐監督は「彼らが主体性を持って、やろうとしていることは良かった」とコメント。人任せにするのではなく、個人個人が高い意識を持って取り組むことで精神面から成長し、「最初に比べてみんな発言も、発信もする」(照山)というチーム、最後までやり切れるチームになってきている。

 成立学園は全国レベルの力を有しながらトーナメント戦であと一歩の敗戦が続いている。05年度に選手権出場した後の選手権予選成績は準優勝4度、4強4度。昨年、一昨年はいずれでも決勝で関東一高に0-1で敗れている。

 それだけに、窪田は「きょうはリーグ戦だからあれだけチャンスがあったけれども、トーナメントでは一発目でチャンスをものにしないと勝てないと思うので、もっと突き詰めてやらないといけない」と引き締め、照山は「俺らの代は期待されているので絶対に行かないといけないと思います」と力を込めた。攻守に東京を代表するプレーヤーを擁し、意識も高まっている今年、成立学園が必ず歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

TOP