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[MOM2617]成立学園FW窪田稜(3年)_金沢内定FWが桁違いの速さ見せつけ、ゴラッソも

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後半5分、成立学園高の金沢内定FW窪田稜が右足ミドルを決めて同点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.23 都1部L第16節 國學院久我山高 1-3 成立学園高 國學院大學たまプラーザキャンパスG]

 元日本代表MFの成立学園高・宮内聡総監督も「素晴らしいゴールでしたね」と唸っていた。成立学園はツエーゲン金沢内定のエースFW窪田稜(3年)が試合の流れを一変させるスーパーゴール。50m走5秒9の快足を活かして相手の脅威になり続け、勝ち越し点もアシストするなど勝利に大きく貢献した。

 前半から1対2の状況でも相手DFを振り切って決定的なシュートまで持ち込むなど、目の離せない存在になっていた。前半18分にはDFを振り切って放った左足シュートがポストを直撃。43分にもDFを置き去りにしたが、シュートをGKのファインセーブに止められていた。

 それでも0-1の後半5分、CB照山颯人主将(3年)からのロングフィードを左サイドでコントロール。対応したDFを一旦背負ってからスピードアップする。サポートの遅れた相手DFが寄せる前にミドルレンジから右足を振り抜くと、ドライブ回転のかかったボールがゴール左隅に突き刺さった。

「自主練であのカットインしてからのシュートはファーとニアに蹴っていました。最初はファーに蹴ろうと思ったんですけれども、DFを抜いた後に結構余裕があったので見たらGKがファーに寄っていたので、ニアに強いシュートを打ったらドライブ気味にかかって上手くいきました」

 まさにスーパーゴール。だが、チームメートたちが興奮した表情で駆け寄る一方で窪田はあまり喜んでいないように映った。「それまで負けていましたし、自分、普通に前半からチャンスがあったので。早く逆転のことを考えていたので冷静になれた」と窪田。落ち着いて試合に戻ったエースはその4分後にDFを上手く引きつける形でMF八木橋俊介(3年)の決勝ゴールをアシストし、その後も鋭いドリブル、抜け出しで危険な存在になり続けていた。

 8月31日に来季からの金沢加入が内定したことが発表された。そこで意識が変わった部分も。「発表されてから見る目が変わるというのは金沢の方からも言われて、自分にはプレッシャーはないんですけれども、『あれでJリーガーになれちゃうんだ』みたいなことを言わせないために、もっと日々努力してやっていきたい」と力を込める。

 日々成長を目指す中で迎えたこの日は、圧倒的なスピードで止まらない存在に。本人は「スピード以外でも打開できるようになりたい。小林悠選手の裏の抜け出し方とかボールの収め方、あと一発のターンでシュートまで持っていく技術を見ていて、そのプラスアルファで自分の武器のスピードあるドリブルの部分は加えていきたい」とまだまだ成長に貪欲だが、強豪相手に「さすがJ内定選手」というパフォーマンスだった。

 元千葉の五十嵐和也監督も「ウチのストロングポイントです。声出して周りを鼓舞するところや勝負に対する気持ちも強い。Jが決まって責任感、エースの自覚が芽生えてきました」と頷く。昨年の東京都1部リーグ得点王(12得点)は今年も11得点と量産しているが、ゴールだけではない部分でチームを牽引している。

 昨年は選手権予選決勝で得点できずに敗戦。まだ成立学園では一度も全国舞台を経験していないだけに、プロ入り前に選手権のピッチに立つことは絶対の目標だ。「自分が裏抜けた時のスピードとサイドでボール持った時にブッちぎるところを見てもらいたいです。去年は決勝戦で自分が点獲れなくて2年連続決勝で負けている。口だけじゃなくて練習から全力でやって、自分が全国に導く点を獲って、全国に行きたい」。選手権予選までにさらに成長し、全国へ導くゴールを決めて心から喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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