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魅力的な攻撃の連続から一転、失速した國學院久我山。さらなる質と逆境乗り越える“強さ”身につける

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この日、存在感のある動きを続けていた國學院久我山高の1年生MF大窟陽平

[9.23 都1部L第16節 國學院久我山高 1-3 成立学園高 國學院大學たまプラーザキャンパスG]

 序盤、國學院久我山高は非常に魅力的なパスワークを展開していた。成立学園高の選手たちに「前から行っても取れない」と感じさせるほど、ハイレベルな「繋ぎ」。ボールを次々と動かして相手の足を止めると、チームの心臓であるMF高橋黎(3年)が長短のスルーパスを通してくる。そして、ゴールに近い位置でも質の高いポジショニングを取り続けた1年生MF大窟陽平がフィニッシュ、ラストパスに絡んで攻撃を加速させていた。

 エースFW宮本稜大(3年)や右FW戸坂隼人(2年)、左SB竹浪良威主将(3年)といった個の突破も織り交ぜて成立学園を攻め立てた國學院久我山は21分、高橋、大窟と繋いで右サイドへ展開。最後は戸坂のクロスを宮本が頭でゴールへ突き刺して先制した。

 前半35分には高橋のスルーパスから宮本が左足を振り抜き、38分にも高橋のスルーパスから大窟が決定機を迎えた。加えてセットプレーからもチャンスを作ったが、その一方で見え隠れしていた“負の予兆”。前半半ばからミスが増え、ボールの失い方が悪くなった國學院久我山はカウンターから決定的なピンチを作られてしまう。

 前半こそ1-0のまま終えたが、後半立ち上がりに2失点。成立学園が前からのディフェンスで攻勢を強める中、受け身なパス回しとなってしまったチームは23分にも失点してしまう。前半に良かった選手たちのミスも増加。後半、チャンスがなかった訳ではないが、上手くいかない時にパフォーマンスを落とすことなく戦い切ることはできなかった。

 清水恭孝監督は「久々に悪いゲームでした。ミスが多すぎる。失点のところは集中力の欠如でした。ロストの仕方が悪かったですし、きょうはエネルギッシュではなかったですね」とコメント。そしてさらなる質と、「市船(市立船橋)や(青森)山田は悪いゲームの時でも勝ち切っちゃう」という“強さ”を継続的に求めていくことを口にしていた。

 インターハイでは神戸弘陵高(兵庫)と星稜高(石川)をいずれも3-0で突破して16強。V候補・大津高(熊本)に力負けしたものの、指揮官が「上手くいけば近年で一番良い。面白いチームになる」と感じるだけのポテンシャルが今年のチームにはある。アグレッシブさも表現して良い時間帯になっている際の攻撃は本当に止めることが困難。その時間帯を増やし、苦しい時間帯を乗り越える“強さ”も身に着け、選手権では観衆を沸かせながら勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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