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[少年男子]試合終盤に特長の「質」発揮して3発!埼玉県が千葉県との激闘制し、17年ぶりに決勝へ!

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後半33分、埼玉県はMF柴山昌也が決勝ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子準決勝 千葉県 1-3 埼玉県 三国運動公園陸上競技場]

 埼玉が関東決戦制す! 3日、第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」サッカー競技少年男子の部準決勝が行われ、千葉県対埼玉県の関東勢対決は3-1で埼玉県が勝った。埼玉県は01年大会以来17年ぶりとなる決勝進出。5回目の優勝を懸けて、4日の決勝で石川県と戦う。

 実力伯仲の関東勢対決は試合終盤にスコアが動いた。後半30分、埼玉県はMF谷口大晟(大宮ユース、1年)の縦パスを起点に左中間のMF須藤直輝(昌平高1年)からMF柴山昌也(大宮ユース、1年)と繋いで右サイドへ展開。交代出場のMF松村大也(浦和ユース、1年)の絶妙なクロスを須藤が頭で合わせて先制した。大野恭平監督(大宮南高)も「完璧」と評した「繋ぎ」の埼玉県らしいファインゴール。互いが決定機を作りあい、好守も見せあった好勝負のスコアをついに動かした。

 すぐに反撃に出た千葉県は失点の1分後、右の快足MF畑大雅(市立船橋高2年)が強引にクロス。必死にクリアしようとした埼玉県DFの頭に当たって舞い上がったボールはそのままファーサイドのゴールネットに吸い込まれる。

 同点。両チームともに、試合終了間際のゴールによって前日の準々決勝を勝利しているだけあって、簡単には終わらない。埼玉県の大野監督が「お互いに知っているチーム同士。緊張感のある、引き締まった良いゲームだった」と評した準決勝。その熱闘は「埼玉らしい崩しのアイディア、クオリティ。それを最後に発揮できる質がある。偶然じゃなくて、最後にその質を発揮してくれた」と指揮官が目を細める埼玉県が、再び勝ち越した。

 33分、埼玉県は左SB佐藤優斗(浦和ユース、1年)の左ロングスローからこぼれ球が中央のMF柴山昌也(大宮ユース、1年)の足元に入る。「あのシュートは得意。(追いつかれて)次は自分が獲るしかないと思っていたので、自分が獲れて良かった」という埼玉県の大黒柱が、得意の左足で左隅のコースにグラウンダーショットを沈めて2-1。混戦のゴール前で精度を発揮し、埼玉県に勝ち越し点をもたらした。

 諦めない千葉県はゴール前のシーンを作ったが、埼玉県は各選手のボールへの反応が速く、ここでシュートを打たせない。そしてアディショナルタイム4分、埼玉県はカウンターでFW山内太陽(昌平高2年)が独走。シュートはブロックされたものの、こぼれ球を交代出場のDF中山昂大(大宮ユース、1年)が頭でねじ込んでダメ押した。埼玉県の選手たちが喜んでいる最中に試合終了の笛。埼玉県が激闘を制して決勝へ進出した。

 試合終盤のゴールで勝負は決したが、序盤から非常に見応えのある戦いだった。柴山を中心にボールを繋ぎ、須藤やFW大澤朋也(大宮ユース、1年)の突破力も交えて攻めた埼玉県に対し、千葉県もボールを持つ時間を増やして3戦連発中のエースFW田村蒼生(柏U-18、1年)や大型FW清水勇貴(柏U-18、1年)、そして畑という一発のある個を活用。互いにビッグチャンスを作りあったが、埼玉県は前半31分、35分に千葉県の清水、田村がそれぞれ迎えた決定機をGKジョーンズ・レイ(大宮ユース、1年)がビッグセーブしたことも大きかった。

 GKジョーンズは後半も抜け出してきた畑のシュートをファインセーブ。個々の技術力の高さ、簡単にはボールを失わないところ、質の高い崩しが目立つ埼玉県だが、ジョーンズやCB田中颯太(大宮ユース、2年)、CB村上陽介(大宮ユース、2年)が中心になって無失点のまま試合を進めたことも勝因だった。

 これで埼玉県はGK加藤順大(現大宮)やMF金澤慎(現大宮)らを擁した01年以来17年ぶり、U-16化されてからは初となる優勝に王手。柴山は「ここまで来たら優勝するしかない。チームのために走って優勝に貢献できたらいい」と語り、須藤は「優勝しないと意味がないし、埼玉県で選ばれなかった選手のため、コーチや観客、保護者の方たちにしっかり感謝して、絶対に勝って、良い報告ができるようにしたい」と誓った。5連戦の最後にも“埼玉らしい”質を発揮して、頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」特集

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