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大人しかった選手たちが勝ちながら成長。準Vの石川県・辻田監督「これから本当に楽しみな選手になってくれた」

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決勝では惜敗したものの、石川県は堂々の準優勝。

[10.4 国体少年男子決勝 埼玉県 1-0 石川県 テクノポート福井総合公園スタジアム]

「彼らにも話をしましたけれども、全国大会に出たことがないような選手たちが多い中で、ここまで進んできたことも石川県の大きな誇りですし、最後の決勝で、この環境で彼らが躍動してくれたことについては悔いがありません。ただ、もう少しとか、こういうところで勝つ力というのは、僕も含めて持ち帰って、この舞台で勝てるようにしたいなと思いました」

 悔しさはもちろんある。前評判の高かった埼玉県との決勝で石川県は持ち前のファイトする姿勢、粘り強い守備、そして大阪府や青森県に逆転勝ちしてきた攻撃力を持って戦い抜いた。結果は0-1での惜敗。ただし、指揮を執った辻田真輝監督(金沢U-18)の表情はどこか誇らしげだった。

 静岡県、山梨県、大阪府、青森県と十分に優勝する力のあった強豪たちを連破して初の決勝まで勝ち上がってきたチームには「快進撃」、「サプライズ」というフレーズがついた。だが、優勝した埼玉県の大野恭平監督も「石川は素晴らしいチームだった」と称賛したように、決勝でもビッグセーブを連発したGK紙谷正平(金沢U-18、2年)や抜群の高さを発揮したCB別宗裕太(星稜高2年)、そして大会得点王となったFW駒沢直哉(金沢U-18、1年)ら石川県の選手たちは全国舞台で個の力を十分に発揮。グループとしての動きも含めて決勝進出に相応しいチームだった。

 決勝では決定機を逸し、自陣で奪いきれなかったところから失点するなど日本一を掴み取るための課題があったことも確か。涙の別宗主将は「悔しいです。みんながもっと走っていれば勝てたかなと思います」と唇を噛んだ。ただし、国体を通して、選手たちが勝ちながら成長を遂げたことは間違いない。

 辻田監督は「このチームを立ち上げた時に大人しい子が多かったですし、ここからどう成長させるか、逞しくさせるかというところが僕の仕事だったと思います。収穫は本当に多かったんじゃないかなと思いますし、最後ああやって悔しがっている様子を見ると、これから本当に楽しみな選手になってくれたなと思いますね」と目を細めていた。

 試合直後、下を向く選手たちに辻田監督は「胸を張る結果だと思いますし、スタンドの歓声も含めて『次に進めるぞ、オマエら』という声をかけました」という。そして指揮官は「化ける可能性が自分の中でも掴めたんじゃないかなというのがあるので、これをいい思い出にしないで次に進んでもらいたい。大学サッカーなのかプロサッカーなのか、そういったステージで日の丸を付けるということを自分の思いだけでなく、形にしてほしい」とコメント。素晴らしい結果を得た国体を彼らは成長を加速させるためのバネにする。

(取材・文 吉田太郎)
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