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“伝家の宝刀”炸裂の大前、PK獲得もじゃんけんに敗れる「俺に蹴らせろよという気持ち(笑)」

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FW大前元紀がキャリアハイを更新する今季22点目

[10.13 J2第37節 大宮1-0栃木 NACK]

 背番号10の“伝家の宝刀”が炸裂した。大宮アルディージャFW大前元紀は鋭い動き出しで5バックと中盤の間に空いたスペースで受けて前を向き、キレのあるドリブル突破を見せた。前半22分にはMF茨田陽生のパスに抜け出したところでDFパウロンに倒され、PA手前、絶好の位置でFKのチャンスを獲得した。

 キッカーの大前は一度シュートフェイントを入れ、壁の位置を確認。「どれくらい(壁が)前に飛ぶのか、審判に前に飛ばせないようにフェイントをかけた」と冷静に駆け引きすると、右足で狙ったシュートは壁をぎりぎりで越え、GK竹重安希彦の手を弾いてゴールネットを揺らした。

 J2得点ランキングトップの大前はこれが今季22点目。キャリアハイを更新する28歳は「壁を越えて枠にいけば入ると思った」と振り返り、「味方がGKの視界を隠してくれた」と199cmのFWロビン・シモヴィッチらチームメイトにも感謝した。

 さらに後半9分、後方からのロングフィードに走り込むと、巧みなタッチからエリア内に進入。ここで再びパウロンに倒され、今度はPKのチャンスを獲得した。キッカーはもちろん大前かと思われたが、ピッチ上で大前、シモヴィッチ、マテウスの3人がじゃんけんをする展開に。「チョキで勝った」というマテウスがペナルティスポットにつくと、スタジアムにはざわめきも起こった。

 大前がPKを決めていれば、今季ゴール数が「23」に伸びていた場面。試合後、じゃんけんについて聞かれたエースは「僕の優しさが出ましたよね(笑)」と冗談交じりに話した。“じゃんけん中”の心境についても「俺に蹴らせろよという気持ちしかなかった」と笑ったが、「ロビンも蹴りたがっていたし、マテも蹴りたがったのでじゃんけんするしかなかった」という。さらに、PKを譲ったマテウスが左足で狙ったシュートは右ポストを直撃。二重に悔しいPK失敗となった。

 それでも、チームはこのまま1-0で逃げ切り、ホームで連勝。J1昇格争いが例年以上の大混戦となる中、消化試合数は異なるが、大宮は勝ち点を「63」に伸ばし、暫定4位に浮上。あす14日に試合を控える首位大分、2位松本と勝ち点3差に迫った。残すは5試合。清水時代の2016年にJ2で18ゴールを記録し、J1復帰に貢献した大前は「残りが少なくなるほど、上位にはプレッシャーがある。勝って上位にプレッシャーをかけていきたい」と闘志を燃やした。

(取材・文 佐藤亜希子)

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