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[MOM563]法政大MF北川公貴(3年)_指定校推薦から勝ち取った入部、3年目で初ゴール

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MF北川公貴は前半34分に決勝点を奪った

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.13 関東大学L1部第16節 法政大3-1専修大 味スタ西]

 抜擢に応えるに十分のパフォーマンスだった。前節の筑波大戦で関東リーグデビューを先発で飾っていたMF北川公貴(3年=札幌一高)は、2戦連続の先発出場。すると1-1で迎えた前半34分、MF森俊貴(3年=栃木SCユース)からの折り返しを左足で流し込み、初ゴールを記録した。

「(チームの)状況が悪い中で前節から使ってもらったんですけど、自分に求められていることは守備からだった。まずはそこを意識しながら、チームのためにと意識していた。自分のゴールはニアで自分が決めるだけという感じでした」

 全国的には無名の存在だった。北川は札幌一高時代はプリンスリーグ北海道で2位に入った実績を持つが、全国大会は未経験。法政大進学もサッカーではなく、指定校推薦で決めた。セレクションに参加しなかったことで、当初は本格的にサッカーを続ける予定はなかったという。

 ただ高校の監督の推薦もあり、高校3年の11月に運よく法政大の練習試合に参加することができた。後半のみの出場で、その場で入部が認められることはなかったが、翌年2月の始動から練習に本格参戦。本来、一般学生の入部は認めていないが、特例で入部が認められた。

 入学当初、レベルの高さに「技術的にやってきたところと全然違う」と愕然としたというが、「とにかくがむしゃらに食らいついた」。1年時からIリーグでの出場機会に恵まれたこともあり、層の厚い法政大にあっても徐々に頭角を現していった。

 そして掴んだ3年目での関東リーグのスタメン。チームが守備からやろうと明確な意識改革が進められていたこと、それにより自身の役割を把握できたことで、幸いにも大きな緊張はなかった。「勢いに乗るためにもこのままスタメンで出続けることが大事になってくる。そこを意識していきたい」。

 Iリーグで結果を残したメンバーで勝てたことも自信になる。先日リーグ最終節を迎えたIリーグの1部Cブロックで、北川が所属した法政大U-22は、堂々の首位で終了。1部リーグ各グループの1位と2位によるトーナメント戦であるチャンピオンシップへの出場を決めた。

 北川の他に、リーグ最終戦となった10月3日の流通経済大U-22B戦で6得点を決めて得点王に輝いたFW中井崇仁(1年=尚志高)も初先発で抜擢されるなど、「頑張りを認められた」という高いモチベーションがチーム内に生まれている。

「今は頑張りどころですね」

 長山一也監督は以前から「俺が勝たせてやるという気概を持ってやってほしい」と選手への要望を話していた。法政大攻撃陣は、東京五輪出場を目指すU-21日本代表でも活躍するFW上田綺世(2年=鹿島学園高)がいることで注目を集めているが、そんな彼に依存しすぎることで弊害が生まれていると感じているからだ。

 そんな中でみられた新戦力の台頭。怖いもの知らずの勢いを持つ北川らの存在は、今後の戦いに向けた明るい材料になる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第92回関東大学L特集

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