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U-16代表のように、3年生が「なにくそ」の思いで奮闘。駒澤大高が6-0発進:東京

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前半2分、CB稲井宏樹(4番)のゴールを喜ぶ駒澤大高イレブン

[10.13 選手権東京都Bブロック予選1回戦 駒澤大高 6-0 南葛飾高 駒沢2]

 13日、第97回全国高校サッカー選手権東京都2次予選が開幕。Bブロック1回戦で15、16年度全国8強の駒澤大高が都立の南葛飾高と対戦し、6-0で快勝した。

“なにくそ”の思いを持って戦った駒大高がまず初戦を突破した。大野祥司監督は初戦直前まで、悔しさをエネルギーに変える力が足りないことを選手たちに指摘していたようだ。2年連続で全国8強へ駆け上がった駒大高も、昨年度はまさかの都予選初戦敗退。今年もインターハイ2次予選初戦で姿を消し、3年生が多く起用されている東京都1部リーグでも思うような結果が出ていない。

 選手権予選初戦を前にしたトレーニングで失敗しても、自分たちの内から出てくるものがなかなか表現されなかったという。それに対し、大野監督は「なにくそ、という気持ちでできないのか」と檄。今月、AFC U-16選手権を制したU-16日本代表は森山佳郎監督から甘いプレーを厳しく指摘され、“谷間の世代”という評価を「なにくそ」の思いを持って跳ね除けてアジア制覇を果たしている。指揮官が求めたのは、彼らのような反骨精神。この日の駒大高の3年生は、「なにくそ」をエネルギーに快勝をおさめた。

 前半2分、MF江藤惇裕(3年)の右CKをCB稲井宏樹(3年)が豪快なダイレクトボレーでゴールへ突き刺して先制点。さらにロングスローや前線の連動した仕掛けでゴールを目指す駒大高は、19分にも左中間から中へ持ち出した10番FW原田大渡(2年)が右足シュートをゴール左隅に決めて2-0とする。

 南葛飾は我慢する展開の中、声でチームを勇気づけていたCB文随翼(3年)やCB松宮歩(2年)が身体を張ったディフェンス。左SB青山裕樹(1年)がゴールラインすれすれでクリアするなど集中した守りで食い下がり、前線で奮闘するFW猪股和馬(3年)やMF杉浦理仁(2年)へボールを繋いだ。

 だが、駒大高は34分、MF涌井蓮(3年)が左足のスーパーミドルを左上隅に叩き込んで3点目。コーチ陣からの期待値込みで厳しい指摘を受けてきた涌井は「『なにくそ』みたいにできないのかと言われて、昨日はできないまま終わってしまって、きょう結果残すしか無いと思っていた。点を取れたというのは『なにくそ』という部分では、意思表示できたのかなと思います」。気持ちの込もった一撃で試合の流れを大きく自分たちに傾けた。

 この日は彼だけではなく、3年生の奮闘が光る試合に。後半は一つ一つのプレーでベンチから讃える声、拍手が飛ぶ南葛飾のゴールをなかなかこじ開けられずにいた。それでも焦れずに各選手がやるべきことを徹底する駒大高は19分、MF時田悠人(2年)のFKからCB齋藤我空(3年)が中央へ折り返し、江藤が頭で4点目のゴールを奪う。

 さらに27分には再び相手ゴール前で齋藤が競り勝ち、1年生FW佐藤海来が加点。38分には時田の左CKを齋藤が頭で叩き込んだ。杉浦を中心としたカウンターから諦めずに1点を目指した南葛飾をシュートゼロに封じた駒大高が6-0で快勝。この日、交代出場を含めてピッチに立った下級生7人もアピールしたことは新たな競争に繋がりそうだ。

 修正点はまだまだある。その上で大野監督は「全然、未完成。選手権で成長していけるように」と期待。この選手権予選は、準々決勝でインターハイ16強の國學院久我山高と対戦する可能性のある激戦ブロックを勝ち抜かなければならない。だが、涌井は「自分たちに矢印向けて、勝負強さを見せないといけないので相手は関係無いです」と語り、齋藤は「3年生が最近活躍できていなくて全然上手くいかない時期が続いていたんですけれども、自分たちはこの選手権が見返すチャンスだと思っていた。3年生がリーダーシップを取って1、2年生を引っ張っていきたい」と意気込んだ。駒大高は、この日のように「なにくそ」の思いをトレーニング、試合でぶつけ、大会中に成長して頂点まで勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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