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[ブラサカ日本代表合宿]東京五輪の切り札?スーダン出身のある選手が初参加

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足の運び方の指導を受けるアブディン(右)

ブラインドサッカー日本代表合宿が14日、千葉県内で行われ、スーダン出身のモハメド・オマル・アブディンが初めて代表合宿に参加した。

「やろうとしているプレーが全然できなかった。人を背負っても負けずに強引に突破しにいったり、競り合いでボールを奪ったりしたかったけど……。シュートで体をひねる段階でお腹の肉がつっかかっちゃってね(笑)」

 アブディンはすべてのメニューに参加し、紅白戦にも出場。周囲のスピードにはまだついていけなかったが、シュート練習では右足を振り切ると空中に浮くほどの迫力を見せた。

 12歳の時に視力を失い、1998年1月、19歳の時に鍼灸を学ぶ目的で来日した。その後、スーダンではなかなか学べない国際平和を学ぶために東京外語大に入学し、日本でブラインドサッカーをはじめた。当時所属していたたまハッサーズで日本選手権3度の優勝にも貢献。現在はつくば市に拠点を移し、2017年から学習院大で国際政治などを教える特別客員教授の肩書を持つ。「アラビア語に、日本語、英語を話せます。落語はできないけどね(笑)」。9月16日、所属するVivanzareつくばで東日本リーグの公式戦があったが、その時は海外出張で出場できなかった。

シュートを打ちながら空中に浮く。これがアブディンのパワー

 アブディンの合宿参加について、高田敏志監督は「日本代表の強化指定には入っていないけど、クラブで頑張っている選手がチャレンジできる機会を与えたかった。2020年の東京五輪パラリンピックまで可能性のある選手を探しているし、(アブディンは)日本人にないパワーを持っている」とトライアウトのような形での招集を続けて、今後の成長に期待を寄せる。

 「今は仕事が終わるのが遅く、どうしても帰宅は22時とか23時になってしまう。だから体重が75㎏もあってね……。今回の合宿で食事の取り方も教わりましたよ。まず体重を65㎏にしたい。体を絞ってから”色気”を出したいね。でも東京五輪は目標にしている。3人いる子供たちにお父さんの格好いいところ、見せたいからね」

 2016年に日本人に帰化し、君が代も歌える。何より流ちょうな日本語を駆使したダジャレで周囲に笑いをもたらす40歳の”オールドルーキー”の成長が楽しみだ。  

▼ブラインドサッカー日本代表合宿参加メンバー(13~14日)
GK佐藤大介(たまハッサーズ)
GK榎本達也(FC東京)
GK高橋太郎(ラッキーストライカーズ福岡)
GK神山昌士(GLAUBEN FREUND TOKYO)
GK菅谷竜太(たまハッサーズ)
GK泉健也(free bird mejirodai)
GK佐々木智昭(コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ)
FP川村怜(Avanzareつくば)
FP田中章仁(たまハッサーズ)
FP黒田智成(たまハッサーズ)
FP日向賢(たまハッサーズ)
FP加藤健人(埼玉T.Wings)
FP寺西一(松戸・乃木坂ユナイテッド)
FP佐々木ロベルト泉(Avanzareつくば)
FP佐々木康裕(松戸・乃木坂ユナイテッド)
FP丹羽海斗(free bird mejirodai)
FP山川聖立(Avanzareつくば)
FP近藤正徳(GLAUBEN FREUND TOKYO)
FP増田周平(Avanzareつくば)
FPモハメド・オマル・アブディン(Vivanzareつくば)※
【注】※は練習生として参加

(取材・文 林健太郎)

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