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先輩Jリーガー彷彿とさせる1年生MF大窟が國學院久我山の崩しのキーマンに

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東京制覇を狙う國學院久我山高の1年生MF大窟陽平

 第97回全国高校サッカー選手権東京都2次予選は20日と21日にAブロック、Bブロックの各2回戦が行われ、インターハイ東京都予選で8強に入ったシード8校が登場する。東京都2位として出場したインターハイで神戸弘陵高(兵庫)、星稜高(石川)という強豪2校にいずれも3-0で勝利した國學院久我山高は、Bブロック2回戦で日本学園高と対戦。清水恭孝監督が「全国でも面白いサッカーができる可能性がある」と口にする今年、全国準優勝した15年度以来となる選手権出場権を獲得し、華麗なサッカーで勝ち上がる。

 俊足左SB竹浪良威主将(3年)やエースFW宮本稜大(3年)、攻守の要を担うMF高橋黎(3年)、最終ラインのゲームメーカー・豊田歩(3年)、守護神・生垣海渡(3年)ら個も注目されるチームの攻撃のキーマンは、1年生MF大窟陽平だ。

 中盤でホットラインを形成する高橋が、「“名倉2世”は、大窟です。マジでちょっと名倉くんに似ていて、ターン上手くて出したら前向いてくれるし、ゲームの流れも読める選手です」と説明していたが、ポジショニングの上手さ、鮮やかなターンなど3年前の全国準Vの立て役者となった先輩MF名倉巧(現長崎)を彷彿させるものがある。

 小学生時代(川越バッハロー)から、コーチの指示でターンを磨いてきたという大窟は、1FC川越水上公園U15でも「自由にプレーさせてくれるチーム」でターンからのスルーパスなどを高めていった。そのプレーを見た國學院久我山・清水監督が「相手の嫌なところに入っていける」と“一目惚れ”。進学した國學院久我山では1年生ながら4-3-3システムの2列目の一角を任され、巧みにDF間を取るポジショニング、正確なターンからのスルーパスなどで存在感を放っている。

 インターハイでは2勝に貢献したが、3回戦では大津高(熊本)に力負け。ポジショニングがわずかにずれただけでもボールを受けさせてもらえなかったという。その敗戦から「ポジショニングを良くして、(高橋)黎くんから受けて、ターンしてどこにでも出せるように」意識。9月の都1部リーグ・成立学園高戦では絶妙なポジショニングからスルーパス、シュートを連発していた。

 名倉と比較されることについて、本人は「嬉しいですけれどもまだまだだと思う」。名倉のような一瞬の切れ味を持って侵入していく動き、試合を決めるようなプレーもこれからだ。

 その点は本人も自覚しており、「ゴールの意識が今、全然低いので、これからもっとゴールを見て、シュートを打てなかったら横に出すみたいに、より攻撃的にやりたい」と改善することを誓っていた。

 埼玉県の国体選抜候補の一人だったが、なかなか練習会に参加できず本大会出場はならず。「アルディージャやレッズの人たちはレベルが高い。シバ(柴山昌也)、やばいっす。盛嘉伊人(ともに大宮ユース)とか、{{須藤(直輝|須藤直輝)}、昌平高)とかめっちゃ上手かったです」と差を感じる部分もあった。地元の選手たちが国体日本一に輝いたことを素直に喜ぶMFは、選手権で彼らに負けないような活躍を見せるか。

 初めて臨む選手権予選へ向けて「出れない先輩のためにも全力を尽くさないといけないし、もっと走らないといけないと思います。出たら出たで、全力でやってきたことを出したいです。悔いなくプレーしたいです」。目の前の一日一日に集中し、チームのために全力で戦うこと。そして、必ず全国に出場し、夏から成長したことを示す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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