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自分の良さ出すよりも、四中工Vのために守備専念。松本内定DF山本主将は重圧乗り越えて全国へ

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四日市中央工高の松本内定DF山本龍平主将

[10.20 選手権三重県予選3回戦 四日市中央工高 11-0 松阪工高 四日市中央工高G]

「自分のプレーの良さを出すのもそうなんですけれども、チームが勝つのが一番。チームメートが自分の能力を出せるようにするのが自分の役割だと思います」

 四日市中央工高山本龍平主将(3年)は19年松本山雅FC加入内定の注目DFだ。「守備面でも、攻撃面でも1対1の強さは一番見てもらいたいところです」というレフティーは、SBやSHとしてのポテンシャルを評価されてプロ入り。憧れの選手にブラジル代表のドリブラー・MFドウグラス・コスタを挙げ、直接FKを決める左足の持ち主でもある“元FW”山本は攻撃好きであることを隠さないが、四中工ではCBに専念してチームが勝つことだけを考えてプレーしている。

 この日は立ち上がりにミドルレンジから打たれたシュート1本のみに封じて完封勝利。山本は得意の左足で前線へのロングフィードをピタリとつけるシーンが2度3度とあったが、攻め上がることはほとんどなかった。最終ラインで相手FWと駆け引きしながら、スペースへのボールに対応。危機察知の部分も強みとしているDFはピンチを未然に防ぎ続け、「ピンチもなく、ジタバタせずにできたと思います」と無失点勝利について振り返った。

 樋口士郎監督が「メンタル、戦略的にも山本がチーム全体を落ち着かせてくれている」と信頼し、この日3得点のFW中村健人(3年)も「なくてはならない存在ですね。後ろに龍平がいるからこそ、僕らも安心してプレーできていますし、いないとチームにならない。アイツがいるから僕らも落ち着いてプレーできている」という存在。チームが勝つため、守備に専念している彼が、四中工サッカーの支柱になっている。

 プロ入りが決まり、周囲から注目される環境になった。ピッチ上では堂々とした振る舞いが印象的だったが、それを伝えると本人は「本当ですか?」と微笑。むしろ、Jリーグ内定選手としてのプレッシャーを感じているのだという。「周りからの目もありますし、少しプレッシャーもある。メンタルちょっと弱くて…(苦笑)、プレッシャーの方が大きいというのがあります」。だからこそ、ファーストプレーから思い切り良く動いて、自分を勢いづけることを意識。「熱狂的な熱さ」に驚いたという松本サポーターの前でプレーする前に、精神的なたくましさ、チームを勝たせる力も身につける。

 選手権出場32回の名門・四中工にとって、3年ぶりの全国出場は絶対的なノルマだ。今年はインターハイ予選でまさかの初戦敗退。「悔しいというよりも不思議な感覚でした」という敗退から、山本はチームに厳しさを求め、一緒に力を高めてきた。

「全国優勝が目標でもあるんですけれども、まずは県予選を突破することに集中してやっていきたいと思っています」。得意の攻撃で魅せるよりも、守備の中心としてチームが勝つことに集中。前線に豊富なアタッカー陣を擁する四中工を後方から支え、必ず選手権を経験してからプロ入りする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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