beacon
TOP > NEWS > 記事詳細

ユース取材ライター陣が推薦する選手権予選注目の11傑vol.3

このエントリーをはてなブックマークに追加

土屋氏が推薦するFW布施谷翔(駿台学園高3年)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権予選注目の11傑』」

 ゲキサカでは熱戦展開中の第97回全国高校サッカー選手権都道府県予選の注目選手を大特集。「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第3回は(株)ジェイ・スポーツで『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当する傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による“東京限定”の11名です。

土屋雅史氏「今回も普段から重点的に取材させて頂いている東京の高校生に限定し、1チームからは1人という個人的なルールの中で、この11人を選出させてもらいました。あと1つ勝ったら、東京高校サッカーの聖地として知られる“西が丘”のピッチが待つステージまで勝ち上がってきた彼らの奮闘をリスペクトしつつ、特に3年生の皆さんが悔いのない戦いを繰り広げてくれることを願っています」

以下、土屋氏が推薦する11名

GK生垣海渡(國學院久我山高3年)
「今シーズンの久我山のゲームを見ると、まずエリアを大きく飛び出してビルドアップに参加する背番号1の姿が目を引く。そのポジショニングの高さは横浜F・マリノスのGKとして知られる飯倉大樹以上。『今年のチームを立ち上げた時から、後ろのビルドアップを大事にしていこうという流れだったので、自分が常に逃げ道になれるように、一番後ろでいられればいいなと思っています』という生垣が、パスを受ける際に見せる動き直しの質はゴールキーパーのそれではない。加えてトレーニングを積み重ねてきたことで、セービングの技術も大きく向上してきた。この選手権予選を『ビルドアップを武器にこの1年間やってきた最後の集大成』と位置付ける“超ビルドアップ型守護神”からは、80分間常に目が離せない。

DF齋藤我空(駒澤大高3年)
「1年時は全国8強をレギュラーとして味わったものの、2年時はまさかの都予選初戦で敗退。この2年間の選手権でまさに天国と地獄を味わった齋藤は、『全国に出て、予選の1回戦敗退という経験をピッチでしているのは自分だけなので、そういう経験を良い意味で還元して、チームを活性化できたらいいかなと思います』と話すように、キャプテンとして今年のチームを牽引してきた。特徴はクレバーなラインコントロールと、サイズ以上の高さを誇る競り合いの強さ。セットプレー時には得点源にもなる彼の攻守に渡る活躍が、赤黒軍団が目指す覇権奪還のカギを握っている」

DF野田圭悟(東京実高3年)
「Tリーグのパンフレットを見ても、35人の3年生が記載されている東京実のページに彼の名前はない。チームHPではMF登録になっていた野田が、一際輝いたのは22番を付けて臨んだ今予選の2回戦。最終ラインの中央に入ると、3連覇を狙う関東一高を向こうに回し、対人と空中戦の強さをいかんなく発揮。強力アタッカー陣をシャットアウトしつつ、攻撃面でもセットプレー時はその高さで何度も相手ゴールを脅かすなど、王者撃破の重要な一翼を担ってみせた。攻撃力に注目が集まる東京実の中でも、この遅れてきた3年生センターバックの存在は、既に西が丘へ向けて欠かせないピースと言えそうだ」

DFチョン・ユギョン(東京朝鮮高3年)
「1年時から最終ラインを任されてきたチョン・ユギョンが、鮮烈なインパクトを残したのが昨年の選手権予選準決勝。関東一を相手に2つの素晴らしいヘディングとループシュートで、何とハットトリックを達成。ゲームには敗れたものの、圧倒的な存在感を放ってみせた。チームは一昨年の選手権予選、昨年の関東大会予選と選手権予選、今年の総体予選とこの3年間で4度の準決勝敗退を突き付けられており、ピッチでそのすべてを体験してきたディフェンスリーダーは、『もちろん全国が目標ですけど、まずは決勝です。西が丘を絶対超えたいですね』とファイナル進出とその先に待つ悲願を引き寄せるための覚悟を整えている。

DF鈴木俊也(早稲田実高3年)
「選手権には並々ならぬ想いを秘める。大雨に見舞われた昨年度の都予選2回戦の東京朝鮮戦。PK戦で唯一キックを失敗し、チームは敗退。『今まで「自分の左足でチームを救ってきたのかな」と勝手に思っていて、それがまさか自分の左足でチームを負けさせて、3年生を引退させることになるとは思っていなかった』鈴木は涙に暮れた。ただ、その試合が変化のキッカケに。今シーズンはキャプテンを務め、前線を任されることもあったポジションもセンターバックで固定。『先輩には本当に申し訳ないことをしましたけど、あの試合が本当に成長させてくれたのかなと思いますね』と口にする。FC東京U-15深川の先輩に当たる丸山祐市を尊敬するだけあって、得意の左足には絶対の自信アリ。早実の躍進は、この鈴木のハイパフォーマンスと共にある」

DF高橋港斗(修徳高1年)
「国体出場は逃したものの、関東ブロック大会に臨む東京都選抜にも選出された逸材は、入学直前のT3リーグでデビューを飾ると、以降もセンターバックの定位置を確保。パートナーを組む3年生の横須賀郁哉も『全然自分でできちゃうので、そこは安心していますし、逞しいです』と厚い信頼を口に。柏レイソルU-15出身らしい確かな足元の技術は言うに及ばず、フィジカル的な強靭さも持ち合わせているため、修徳伝統の粘り強い守備対応もきっちりこなしており、岩本慎二郎監督は笑いながら『「何でウチに来たんだ」という選手だよね』と独特の表現で高評価を。これからの飛躍にも大いに期待したい1年生だ」

MF三浦颯太(帝京高3年)
「入学直後から複数の選手が主力として活躍してきた世代も、とうとう最高学年に。中でもそのスキルフルな左足で数々のチャンスを演出する三浦も、最後の選手権予選を迎えている。もともと際立っていたサッカーセンスに加え、戦う姿勢を前面に押し出せるようになったのは、『1年生から出させてもらっているので、自分がプレーでも声でも引っ張っていかなくてはいけないですし、球際は激しく行った方がチームの士気が上がると思うので、しっかり負けないようにしています』という意識改革の現れ。カナリア軍団復権への道は、現時点で最後に全国制覇を果たした当時の阿部敏之を彷彿とさせる、この8番のウルトラレフティが明るく照らす」

MF菊池陽(都立駒場高3年)
『もうドリブルばっかする“ドリブル人間”です』という自己評価も頷ける。松尾勇佑(市立船橋高)や井上翔太(國學院久我山)、布施谷翔(駿台学園高)など、ドリブルに特徴を持つ選手を多く輩出したジェファFCの同期の中でも、そのスピードは上位だったとのこと。緩急の変化でマーカーを剥がしていくドリブルは、チームに大きなアクセントをもたらしていく。最近はスーパーサブの役割が多いものの、『Aチームの中で1人だけベンチに入れない3年がいて、その子はクラスメイトなんですけど、本当に悔しそうだったので、それを見てからは死ぬ気でやらなきゃいけないなって思っています』とも。大切な仲間の想いも背負った10番に、もう迷いはない」

MF唐澤大地(国士舘高3年)
「とにかく縦へと勝負するスタイルは爽快感すら覚える。2年時からレギュラーを張ってきたサイドアタッカーは、左右を高いレベルで遜色なくこなす能力も兼ね備え、チームを率いる上野晃慈監督も『ドリブルは上手でスタミナもあるし、右も左も器用にやってくれるので使いやすい選手ですね』と小さくない信頼を寄せる。昨年度の選手権予選では、準決勝の國學院久我山戦にスタメン出場したものの、後半に途中交代を強いられ、チームも敗退しただけに、最後の冬への想いは人一倍強いはず。西が丘への帰還と15年ぶりの東京制覇を同時に狙う国士舘のタッチライン際では、1年前のリベンジを誓うドリブラーが常に疾走しているはずだ」

FW窪田稜(成立学園高3年)
「この男が一度トップスピードに乗ったら最後、ディフェンダーはその背中を見送ることになる。昨シーズンから持ち味のスピードを生かした裏への飛び出しは都内トップクラス。今年の総体予選前後はやや体のキレを欠き、ゴールからも見放される時期が続いたものの、その後に参加したJクラブの練習で細部への意識が高まり、新たな走りのメニューを追加したことで復調傾向に。ここぞという場面での決定力も戻ってきつつある。今予選の直前には、既に入団内定が発表されている金沢で2週間を過ごし、さらなる研鑽を積んできた。本人も『口だけじゃなくて絶対に獲りに行くしかないと思う』と意気込む全国の舞台へ、13年ぶりにゼブラ軍団が乗り込むためには、このストライカーのゴール量産が絶対条件だ」

FW布施谷翔(駿台学園高3年)
「関東大会予選でファイナリストとなった駿台学園の中でも、相手を切り裂くスムーズなドリブルと、得点に絡める感覚は群を抜いており、一度ノッたら手の付けられないチームにさらなる推進力を与えている。『サッカーを楽しむのが一番大事だと思います』という言葉に滲む“サッカー小僧”ぶりはピッチ上の彼を見れば明らか。昨シーズンはインサイドハーフを務める時期もあったが、『なるべくフリーでもらえる所でやりたい』と感じていた今シーズンは左サイドハーフでほぼ固定。初戴冠への道を歩んでいく過程で、不動のエースでもある布施谷がどれだけサイドからゴールに関れるかが、そのままチームの勝敗を左右する」

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校選手権2018





TOP