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「出られない人の分も頑張れ!!」。アンプティ日本代表がサッカー元日本代表の”愛のムチ”を胸にメキシコへ

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最前列左から2人目が古城暁博主将、同4人目が萱島比呂、右から3人目が近藤碧

 4大会連続のワールドカップ(W杯)出場のアンプティ日本代表が24日、開催地のメキシコに向け、出発した。大会主催者の突然の年齢制限変更により、19日に代表離脱が発表された15歳1か月の中学生、近藤碧(あお)も自ら希望して、チームに帯同した。

 近藤とともに出発手続きをした主将のFP古城暁博が言う。

「同じようにエネルギーを費やしながら、スタートラインに立てる人もいれば、そうでない人もいる。碧(近藤)の分まで、という思いはみんな絶対に持っていますよ」

 前日23日に都内で行われた壮行会。日本代表戦士は日本障がい者サッカー連盟会長の北澤豪氏の思いを神妙な顔で聞いていた。

「みなさんの話の中で『W杯に出られないメンバーがいる』という話が出てきたけど、僕も(現役時代)W杯のメンバーから外れた。出られないけど、やりたい人はいると思うんです。こう言ってしまうと、ものすごくプレッシャーをかけてしまうことになるけど、人生の中でこれだけのプレッシャーを受けてサッカーをすることはないし、その中で頑張ってほしい」

 日本が初めて出場した1998年。北澤会長はアジア予選でW杯初出場に貢献したが、フランスでの直前合宿後に、「ポジションがない」という理由で三浦知良市川大祐とともに代表から落選した。北澤会長は笑みを浮かべながら話したが、心の奥底にあるその複雑な思いを、選手はくみ取っていた。

 昨年日本代表が参戦したポーランド国際で大会MVPに選ばれたFP萱島比呂はこう明かす。
 「北澤さんがおっしゃったように、たしかにこれだけの重圧の中でサッカーをやることはなかなかないので、むしろ楽しもうと思っています。目標はベスト4ですけど、僕は負けず嫌いなので1度も負けたくないですね」

 出発直前、日本代表選手団は横断幕を持って全員で記念撮影した、横断幕にはスポンサー企業の名も記されていた。支えてくれる人、出られない人の思いを背負い、日本代表戦士は機上の人となった。

北澤豪会長(右)の話を聞く古城主将(左端)ら選手たち

(取材・文 林健太郎)

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