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「熱く、一生懸命な」戦い貫いた明桜、19年ぶりの秋田決勝進出!

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PK戦勝利と決勝進出が決まり、歓喜の明桜高イレブン

[10.25 選手権秋田県予選準決勝 秋田工高 0-0(PK2-3)明桜高 八橋陸]

 明桜が19年ぶりの決勝進出! 25日、第97回全国高校サッカー選手権秋田県予選準決勝が行われ、秋田工高明桜高との一戦は0-0で突入したPK戦の末、3-2で明桜が勝利。秋田経法大附高時代の99年度以来、現校名では初となる決勝進出を果たした明桜は、25年ぶり4回目の全国出場を懸けて決勝(27日)で秋田商高と戦う。

 迫力の全校応援の中、緊張もあって自分たちの思うような攻守ができた訳ではない。それでも、国見高や神戸U-18コーチ時代に選手権タイトル獲得などを経験している原美彦監督の下、「見ている人が熱く、一生懸命やっているな」と感じるような戦いを目指す明桜は声援も後押しに最後まで諦めずに走り抜き、決勝へのチケットを掴み取った。

 明桜は前半20分に10番MF佐々木大地(3年)が負傷交代するアクシデント。秋田工は球際の強度とパスで違いを生み出す10番MF石井俊輔主将(3年)を中心にオープン攻撃を狙い、キーマンを欠く明桜も正確に前線までボールを運んでFW籾山泰輝(3年)とFW武藤駿明(1年)がゴール方向へ切れ込んで見せる。

 互いに攻めきれずにボールを失うシーンが目立っていたが、後半半ば過ぎから明桜が押し込み、左SB鎌田太耀(1年)のクロスや右SB伊藤悠希(3年)のロングスローなどでゴール前の攻防の回数を増やしていた。

 それを左SB鎌田悠太郎(3年)を中心に跳ね返した秋田工も、MF半田悠真(2年)のスルーパスにFW細谷大純(2年)が走り込むなど後半終盤へ向けて幾度か決定機を作った。だが、明桜は青森山田中出身のCB沖田凌介(1年)がインターセプトを連発。0-0の延長前半3分には秋田工MF高城宥斗(3年)の左足シュートを184cmGK黒崎翔(3年)がファインセーブするなど得点を許さない。

 後半終盤からのオープンな展開は延長戦で加速する。明桜はMF吉田銀河主将(3年)や交代出場FW齋藤光優(1年)がビッグチャンスを迎えるも、シュート精度を欠いて先制することができない。だが、「本当に頑張ることしか取り柄がないので、気持ちで負けたら終わりだなと思っていた。みんなが自分のプレーを見て、『俺もやらなきゃ』と示せる選手になりたい」という吉田が、試合を決めに来ていた秋田工エース・石井に必死に食らいつき、各選手もハードワークを続けて相手にも1点を与えない。秋田工は延長後半10分に石井、DF二木楽人(1年)と繋いで、その折返しを細谷が左足で狙ったが枠を外れて試合はPK戦に突入した。

 PK戦では先攻・秋田工の1人目のシュートを明桜GK黒崎が右に跳んでストップ。2人目も外してしまった秋田工に対し、明桜も3人目のシュートがポストを叩いてしまう。だが、明桜は沖田、伊藤、齋藤が成功し、4人目まで3-2とリード。迎えた秋田工5人目のシュートが枠上へ外れ、明桜の決勝進出が決まった。

 今年3月に就任した明桜・原監督は当時と比べて「頑張れるようになりました。上手くいかないと下を向いていたけれど、前向きに戦うことができるようになった」と説明する。同時に原監督が求めたのは楽しくサッカーをすること。この日、選手たちは緊張で100パーセントの力は出せなかったかもしれない。それでも、緊迫した展開の中、「ヒーローになるチャンスだぞ」と笑顔で選手たちを送り出す指揮官同様に、学年の別け隔てないという選手たちも明るい雰囲気を持って最後まで戦い、白星を引き寄せた。

 決勝で対戦する秋田商は、3連覇中の王者でプリンスリーグ東北に所属する強豪。だが、吉田が「原さんが来てから秋田県が全国で勝てていないという歴史も変えるという目標でやってきたので、決勝で勝って全国に出て、どんな強豪が来ても気持ちで負けない部分で頑張りたいです」という明桜は、名門相手にこの日も貫いたハードワークと諦めない姿勢、そして笑顔を持って戦い、扉を開く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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