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[MOM2652]明桜DF沖田凌介(1年)_負けん気強いCBは青森山田中出身、決定機阻止して全国王手

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好守を連発したも明桜高の1年生CB沖田凌介

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.25 選手権秋田県予選準決勝 秋田工高 0-0(PK2-3)明桜高 八橋陸]
 
 明桜高は初戦から3試合連続で無失点勝利。中でも1年生CB沖田凌介は守備範囲の広さで危険なシーンを3度、4度と阻止して見せるなど、紙一重の勝負で白星を引き寄せる原動力となっていた。

 もちろん、先輩のCB佐藤龍星(3年)やMF吉田銀河(3年)にサポートされた部分もあったが、「自分のところは絶対にやらせない」「一人でカバーして守ってやる」という空気感も出しながら戦っていたルーキーは、強みとしている前への強さや縦パスに食らいついて潰す部分、鋭いカバーリングを見せ続けていた。

 後半には秋田工高が左サイドで突破した際に逆サイドからカバーした沖田がスライディングタックルでストップ。35分にも左サイドで秋田工のスルーパスが通ったが、ここでも瞬時に現れた沖田が仕留めて得点を許さない。身体を張り、攻撃面でも落ち着いて縦パスを通していたCBは、PK戦1人目で登場し、難なく決めて見せるなど印象的な活躍を見せた。

 秋田県出身の沖田だが、中学時代は名門・青森山田中に所属。3年時には全国中学校大会優勝を経験している。ただし、ハイレベルなチームの中で出場時間はごくわずか。プロ志望のCBは進路について悩んだ末に「山田では出れなかった。プロになりたいならば、活躍しなければいけない。秋田で活躍したい」と地元に戻り、兄も在籍していた明桜進学を選択した。

 中学時代のエース、主将ですでに青森山田高のトップチームでも活躍を始めているMF藤原優大(1年)は今でも連絡を取り合う仲。中学時代は差をつけられていた旧友に「勝ちたいですね、アイツに」という思いを持って日々に取り組んでいる。

 そのスタートは順風ではなかった。入学直後の県1部リーグ戦ではブラウブリッツ秋田U-18に0-7で大敗。「ヤバイな、と思って練習中も自分からやるようになった。山田の時は優大とかみんなに引っ張ってもらっていたんですけれども、自分から声を出してやるようになりました」。U-16秋田県選抜の一員として国体予選に出場するなど経験を積んだCBは、チーム力向上の一因となり、この選手権予選では無失点を続けて決勝まで勝ち上がった。

 国見高コーチ時代にFW大久保嘉人(現磐田)ら数々の名選手を指導している原美彦監督は、沖田について「嘉人みたいなやんちゃぶりです」と微笑む一方、「ポテンシャルがあります」と評価。大久保のようにプロになって活躍するために、彼がやらなければならないことはたくさんある。それでも「負けず嫌いなのでどっか負けていたら悔しいし、相手が『上手い』とか言われると、みんなが『上手え、上手え』と言っても『そんなことないでしょう』と言っちゃうタイプです」という負けん気の強さも成長する力になりそうだ。

 2年後を見据える一方、今はあと1勝に迫った全国出場に集中。「決勝まで行ったとしても、全国出ないと秋田県でしか見られないし、全国に行ってもっと活躍したい」というDFが、決勝でも強敵・秋田商高にも食らいつき、無失点で終えて、全国でアピールするチャンスを掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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