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学法石川、毎朝鍛えたPK戦で帝京安積を制し、3年ぶりの県決勝へ:福島

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PK戦勝利を喜ぶ学法石川高の選手たち

[10.27 選手権福島県予選準決勝 帝京安積高 1-1(PK3-4)学法石川高 西部サッカー場]

 第97回全国高校サッカー選手権の福島県大会は、27日に西部サッカー場で準決勝を行い、第2試合は、学法石川高がPK戦の末に帝京安積高を破って、決勝戦へ駒を進めた。

 拮抗した試合で先制に成功した学法石川だったが、後半終了間際に同点弾を許して苦しんだ。延長戦では得点が生まれず、1-1のままPK戦に突入。先攻の帝京安積が4人目、5人目と連続でシュートを外し、4-3で勝負が決した。

 3年ぶりの決勝進出、初優勝に王手をかけた学法石川の稲田正信監督は「出場選手は、ほとんどが寮生。寮の前のグラウンドで登校前に30分。朝練はPKだけをやっている」とPK戦に自信を持っていたことを明かし、「相手は、絶対王者。インターハイ予選では大敗しているけど、粘って戦えば勝負になる」と1週間後に控える決勝に視線を移した。同会場で11月3日に行われる決勝戦では、5年連続10度目の全国出場を狙う尚志高と対戦する。

 試合は、学法石川がやや優勢に進めた。前半14分、右MF廣澤聖大(3年)のドリブル突破からFW須和田亜門(3年)へパスをつないでキープすると、バックパスをFW井上壽斗(2年)がシュート。クロスバーを越えたが、ファーストチャンスとなった。前半28分には、中、右、中とダイナミックな浮き球のパス交換で相手を揺さぶり、シュートに繋げた。対する帝京安積は、身長185cmの大型FW佐藤源起(3年)にボールを集めて、2列目からのドリブルアタックにつなげる攻撃で対抗した。

 スコアが動いたのは、後半27分。学法石川は、中盤のこぼれ球を前に運んだボランチの樋口裕平(3年)がスルーパスを送り、後半から出場したスーパーサブの清水大成(2年)がGKとの1対1を決めて先制した。清水は、3戦連続の途中出場得点。「今年は、後半から出て走って決めるのが自分の役割。果たせて良かった」と手ごたえを話した。

 清水の投入により、攻撃が活性化した学法石川は、試合のペースを手繰り寄せたが、一瞬の隙が大苦戦につながった。後半終了間際、攻撃の起点になっていた廣澤が足のけいれんでピッチ外へ出たタイミングで、帝京安積は数的有利で穴の空いたポジションを生かした。

 廣澤にマークされていた左DF伊東幸岐(2年)がフリーになってアーリークロスを放ち、前線に投入されたばかりの遠藤祥馬(3年)が鮮やかにヘディングシュートを合わせて同点とした。帝京安積は、延長前半の終了間際にGK千田和駿(3年)の好守で相手の決定機を防ぐなど、その後も粘り強さを発揮。最後まで学法石川に食らいついたが、PK戦で突き放された。

 優位に進めながら死闘を制する形での勝ち上がりとなった学法石川は、3年ぶりの決勝進出。相手は、当時PK戦で敗れた尚志だ。主将の熊谷太陽(3年)は「決勝は、夢の舞台。3年前のあの試合は、みんな、スタンドで見ていたと思う。次は『惜しい』ではなく勝ち切れるように頑張りたい」と意気込みを語り、攻撃をけん引した須和田も「尚志に勝って全国に出たい。相手にもミスはあるだろうし、チャンスはあると思っている」と金星奪取にかける思いを話した。先輩たちが超えられなかった尚志という壁を突き破り、全国初出場の扉を開けられるか。大一番に挑む。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2018

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