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“強い”丸岡復権へ…インハイ王者から学んだ「挑戦する心」を忘れず10発完勝:福井

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丸岡高が10発勝利

[10.28 選手権福井県予選準々決勝 丸岡高10-0武生工高 丸岡スポーツランド]
 
 第97回全国高校サッカー選手権福井県予選準々決勝が28日に行われた。3年ぶりの選手権出場を狙う丸岡高と武生工高の一戦は、丸岡が10-0で快勝。11月4日の準決勝で2連覇中の北陸高と対戦する。

 県勢最多となる28度の選手権出場を誇りながらも、この2年は初戦で姿を消していた丸岡だが、今年はこれまでとは少し違う。前日の敦賀工高戦を8-0で勝利し、鬼門を突破した。小阪康弘監督は「正直、ホッとした」と安堵の表情を浮かべたが、ピッチからは気の緩みは見られない。試合開始と共にサイドを押し込むと、前半4分にはMF小林晃喜(3年)がゴール前に入れた右CKをFW田海寧生(2年)が合わせて、先制に成功した。

 ここからも小林とMF馬場脩介(3年)のダブルボランチを中心にボールを動かしながらゲームを支配。相手エリアでは、右SBの山下深志(3年)やトップ下のMF川中浩夢(1年)が絡みながら、サイドから見せ場を作った。前半16分には左から中に絞ってボールを受けたMF宮永任(3年)のスルーパスから田海がゴール前を抜け出し、GKとの1対1を冷静に決めると、以降も3点を追加し、前半のうちに試合の行方を決定付けた。

 後半も勢いは衰えず、後半13分にはMF明間希(2年)が6点目をマーク。ここからは大差がついたため、モチベーションが落ちてもおかしくなかったが、「気持ちが落ちている選手を外して、Aチームで出たいという選手を試合に出した」(小阪監督)と積極的に選手を入れ替え、気を引き締めた。

 選手たちも期待に応え、後半21分には途中出場のFW坂下泰蔵(3年)が左を突破。シュートはGK加藤楓己(2年)の足に阻まれたが、同じく途中出場のFW出口優真(2年)が落ち着いて押し込んだ。その後もMF宮本椋平(3年)が技ありな左足シュートを決めるなど、途中からピッチに入った選手がしっかりと結果を残し、終わってみれば10-0という大差での勝利となった。

 3年ぶりの選手権出場を掴むため丸岡は予選が始まる直前に、インターハイで日本一に輝いた山梨学院高に出向き、胸を借りた。宮永が「ゴールに向かう迫力が自分たちとまったく違った」と振り返るプレー面での収穫と共に、得たのは選手権を戦う上で重要な精神面での気付きだ。積極的にゴールに向かって挑戦する山梨学院の姿を見た小阪監督は、「今までは全部の力が出せないから勝てないと思っていたけど、ひた向きに相手に向かっていく気持ちが大事だと再確認した」。力は出せなくて当たり前だからこそ、とにかく思い切ってプレーした結果が2試合で18得点を奪う原動力となっている。

 全国行きが間近に迫ったここからは対戦相手のレベルが格段に上がる。これまで以上に自分たちの力が出せない状況もあるかもしれないが、挑戦する気持ちを忘れなければ必ず道は拓けるだろう。「“上手いね”と言われるのではなく、“強いね”と言われる丸岡を作らなければいけない」。そう宮永が意気込むように、丸岡復権を目指すために、挑戦する気持ちを忘れず準決勝に挑む。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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