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「集中力」と「一体感」で國學院久我山飲み込む。駒澤大高が“ビッグマッチ”制して東京B準決勝へ

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強敵撃破を喜ぶ駒澤大高イレブン

[10.28 選手権東京都Bブロック予選準々決勝 駒澤大高 2-1 國學院久我山高 実践学園高尾G]

 東京Bブロック4強入りを懸けた“ビッグマッチ”は、駒大高が制す! 28日、第97回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選準々決勝で15、16年度全国8強の駒澤大高と15年度全国2位、今夏のインターハイ16強の國學院久我山高が対戦。早くも実現した実力派同士の注目カードは、駒大高が2-1で競り勝ち、準決勝(11月11日、対駿台学園高)進出を決めた。

 240人超の部員全員の力で強敵を飲み込んだ。前半15分に駒大高MF涌井蓮(3年)がこぼれ球を押し込んでスコアを動かしたのに対し、國學院久我山は直後の17分に左FW山下貴之(2年)の突破から右FW戸坂隼人(2年)が決めて同点に追いつく。

 互いに譲らない展開の前半となったが、一つひとつの競り合いで上回るたびに控え部員たちの大歓声が飛ぶ駒大高の集中力は特に高かった。10番FW原田大渡(2年)や前半途中に投入されたFW羽鳥陽祐(3年)が前線から走り回って國學院久我山にプレッシャーをかけ続ける。國學院久我山はCB豊田歩(3年)やMF高橋黎(3年)が後方からボールを繋いで攻めるものの、なかなか相手の懐に潜り込むことができない。

 対して、駒大高はボールを奪うと勢いのあるサイド攻撃でセットプレーを獲得。ロングスローなどから相手にプレッシャーをかける。前半アディショナルタイムには得意の空中戦の応酬から、最後は原田がDFをかわしてシュートを打ち込んだ。

 國學院久我山は後半2分、MF福井寿俊(2年)の右足ミドルのこぼれ球に10番FW宮本稜大(3年)が反応したが、シュートをゴール右に外してしまう。その直後、駒大高が勝ち越し点を奪った。左クロスのこぼれをMF細川竜征(3年)が頭で右サイドへ繋ぐと、右SB山田英生(3年)がGKとDFラインの間へ絶妙なクロスボール。これを原田が頭で合わせて2-1とした。

 ゴールを決めた原田は一直線で応援席へ。控え選手たちと喜びを爆発させていた。駒大高の応援席からは5分に一度くらいのペースで「盛り上げようぜ!」の声。大応援に後押しされ、また大野祥司監督が「(選手たちには)『集中力』『一体感』しか言わなかった」という駒大高は個々が責任感強いプレーを見せる。その鋭い出足の前に、國學院久我山は判断が遅れてしまうシーンが増えてしまっていた。

 反撃する國學院久我山は宮本の抜け出しや、鋭いターンからPAへ切れ込むMF大窟陽平(1年)が危険な存在になっていたが、駒大高はゴール前で体を張って決定打を打たせない。また、ハイボールは主将のCB齋藤我空(3年)がシャットアウト。奪ったボールをこの日、存在感が際立っていた原田や羽鳥が収めるなど、むしろ駒大高が攻撃時間を伸ばしていく。

 諦めない國學院久我山は左SB竹浪良威主将(3年)のポジションを上げ、スピードの速いパスワークや大きな展開、個の突破を交えて駒大の守りのズレを生み出そうとする。だが、出足の速さや集中したカバーリングを続ける駒大高の堅守は最後まで揺るがず。2-1で勝利を決めた駒大高の選手たちは、応援席から飛び出してきた控え選手たちと歓喜の抱擁を繰り返していた。

 強敵を飲み込むような戦いを見せた駒大高の齋藤は、「本当に応援が自分たちの支えになったので、応援の人たちには感謝しかないですね。大野先生もずっと『一体感』のことを言っていて、ピッチに立っている自分たちだけじゃなくて、応援も含めて全員で勝った勝利かなと思います」と胸を張った。

 駒大高は今大会初戦直前、Aチームで出場してきたDF小林慎治(3年)が応援リーダーに回り、彼を中心に「一体感」ある大応援。「全然(試合に出ることを)諦めていないですし、自分は与えられた環境でしっかりやって、応援の時はしっかりチームのために応援してチームが勝てるように、そしてまた自分が活躍できるようにやっていきたい」という小林ら全力でサポートしてくれる仲間たちに全国大会で出場チャンスを与えるためにも、駒大高はまだまだ負ける訳にはいかない。

 インターハイ予選の2次予選初戦で敗退するなど、今年は悔しい思いを経験してきた。それでも「この選手権に入って成長している」(大野監督)という駒大高がこの日のような「集中力」と「一体感」のある戦いを続け、2年ぶりに全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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