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[MOM2672]大手前高松MF山岡啓太郎(3年)_魂のダイビングヘッド、野球部より先に全国へ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 高校選手権香川県予選準決勝 高松商0-2大手前高松 県営主]

 後半37分、ゴール前に抜け出してクロスバーに当てたMF山岡啓太郎(3年)も、それを押し込んだFW片上椋太(2年)も直後に足をつって立ち上がれなくなった。大手前高松高のイレブンは全員が限界まで走り抜き、初の決勝進出を手繰り寄せた。

 均衡を破ったのは山岡のダイビングヘッドだった。後半12分、左サイドを縦に突破したFW片上椋太(2年)のクロス、腰より低い位置に上げられたが、ためらわずに飛び込む。「ボールが来ると信じて、とにかく相手より先に触ろうと思った。ダイビングヘッドは得意なんです」。同37分のクロスバー直撃については、「決めたかったんですけど…」と頭をかいたが、「この一戦にかけていたので、死ぬ気で走りました」と充実の汗をぬぐった。

 サッカー部は川上暢之監督のもと、9年前から本格強化に乗り出している。学校の方針でサッカー部と野球部が強化指定クラブとなり、県内有数の進学校だが、サッカー部員と野球部員は同じクラスで勉学に励んでいる。切磋琢磨する仲で、サッカー部が今年1月の新人戦で香川県初制覇を果たすと、野球部は春季大会で香川県、そして四国大会まで制してみせた。

 しかし全国大会となると、ともにあと一歩のところで届かずにいる。夏の甲子園出場の期待がかかった野球部はベスト8で敗退。「野球部より先に決めたいですね」とニヤリとするも、悔しい思いをしたクラスメートの想いも背負って、高校生活最後の全国行きのチケットを目指している。

 2連覇中だった高松商を下しての決勝進出。山岡にとっては、高校進学を選択する際に迷ったという相手を下したという点でも意味ある勝利になった。あとは学校の歴史に名を刻むだけ。「全国に行くと景色が違うと思う。体験したいです」。 

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2018

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