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「自分たちが新しい歴史をつくる」。選手権初出場初V目指す三浦学苑が神奈川決勝進出!

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後半10分、三浦学苑高MF能勢海翔主将(6番)が決勝点となるゴール

[11.4 選手権神奈川県予選準決勝 三浦学苑高 3-1 横浜創英高 等々力]

 三浦学苑が初Vへ前進! 4日、第97回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が行われ、三浦学苑高横浜創英高が対戦。三浦学苑がMF末次怜(3年)の2得点1アシストの活躍などによって3-1で勝ち、7年ぶりの決勝進出を果たした。三浦学苑は11日の決勝で桐光学園高と戦う。

 自分たちが新しい歴史をつくる――。三浦学苑は今夏のインターハイ予選で初優勝し、全国大会でも強豪・東福岡高を破るなど8強入り。自信を掴んだ一方、選手たちは目標の日本一を成し遂げられなかったことを悔しがる。

 インターハイ優秀選手のFWウォー・モハメッド(3年)は「インターは全国出たけれどもベスト8で終わってしまった。『全国制覇』ということを練習の中でもずっと言っているし、自分もしたいと思っている」と口にし、MF能勢海翔主将(3年)も「初出場初優勝ということをゴールとして見ているので、その思いは強いと思います。新しい歴史をつくると思ってやっています」と説明する。

 現在の目標は、“衝撃的な”初出場初優勝を果たした12年インターハイと同じく「選手権初出場初優勝」。それを果たすために意識高い日々を送る三浦学苑が夏からの成長も示して神奈川決勝へ駒を進めた。

 前半、ポゼッションに特長を持つ横浜創英に持ち味を発揮させなかった。枝村隼人監督が「くさびを入れさせずに連動したプレーをしてくれた。2列目を潰してくれた」と評したように、ウォーとFW川上渚(3年)を筆頭とした前線からのプレッシングで横浜創英のパスワークを封鎖。横浜創英が後半勝負だったとは言え、同校の宮澤崇史監督に「思っていたよりも繋げなかった」と言わしめる守備を見せた。

 その三浦学苑はボールを握る部分で夏からの進化を印象づけた。枝村監督も「(インターハイでは)ポゼッションできなかった。(きょうは)スペースを上手く活用することができたと思います」と頷いていたが、ギャップでボールを受けながらテンポの良いパスワークを披露。ラストの精度を欠いてしまっていたが、それでもセットプレーから決定機を作り出すなど横浜創英を押し込んだ。

 横浜創英も1タッチでボールが動いた際はPAまで押し返し、また俊足エースFW綿谷航平(3年)のスピードも活かして局面を破ろうとする。だが、CB今野功基(3年)やCB池崎鉄人(3年)がケアして守る三浦学苑が先制点を奪う。前半38分、縦パスをウォーが競り勝つと、PAに飛び込んだMF杉山十椰(3年)がPKを獲得。これを末次が右足で決めて先制した。

 横浜創英は後半開始から“切り札”のMF藤原悠生(3年)を投入。さらに2選手の投入によって、この日最終ラインで先発した司令塔・MF金子拓真主将(3年)のポジションを上げようとする。だが、投入直前のタイミングで三浦学苑が追加点を奪った。後半10分、左サイドからのFKでキッカーの末次がニアへ鋭いボールを入れる。これに走り込んだ能勢が1タッチでゴール。相手がギアチェンジする前に大きな2点目を奪った。

 横浜創英は中盤へ上がった金子と交代出場MF山田凌大(3年)がパスワークの精度を上げる。17分にはコンビネーションでの崩しから山田がスルーパス。これで抜け出したMF荒俣圭汰(2年)が右足シュートを決めて1点差とした。

 その後、相手に決定機を作られながらも凌いだ横浜創英は、細かいスペースをショートパスで打開しながら前進。繰り返しパスでの崩しにチャレンジした横浜創英は30分に右クロスを綿谷が頭で合わせ、31分には相手のクリアをチャージした山田がGKと1対1になった。だがシュートはわずかに枠右へ。同点機を逸した横浜創英に対し、三浦学苑は34分、FW渡邉天翔(3年)の突破から末次が右足で決めて勝負を決定づけた。

 三浦学苑は新チーム発足当初から日本一が目標。もちろん、神奈川で優勝することは簡単ではないが、日常的に「全国制覇」という言葉を発し、選手たちが同じ方向を向いてそれを達成するための努力を続けてきた。この日は隙の無い戦いで難敵を撃破。能勢はインターハイ全国2位の桐光学園高と戦う決勝へ向けて「自分たちが新しい歴史をつくると考えてやっている。(県予選の)優勝というのがゴールではないので、その先に繋がるように今週一週間、対策を練ったりして自分たちのやりたいサッカーができるような練習をしていきたい」。まずは県決勝。選手権初出場を果たして歴史を一つ塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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