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「J1に行ったら全然ある」“東京世代”の大分DF岩田智輝、高い基準で成長誓う

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着実に出場機会を得ている大分トリニータDF岩田智輝

[11.4 J2第40節 横浜FC3-1大分 ニッパツ]

 球際でなかなか優位に立つことができず、横浜FCの“飛び道具”に屈して3失点。大分トリニータDF岩田智輝は「身体が強い相手が多かったけど、あまり勝てなかったのが悔しい」と振り返った。シーズン終盤の好調を支えてきた東京五輪世代の21歳は、リーグ戦残り2試合でさらなる成長を遂げる構えだ。

 後半立ち上がりの攻勢で先制点を奪った大分だったが、その後は相手の前傾姿勢を押し返せず、ミドルシュートとセットプレーで次々に失点。右ストッパーでフル出場した岩田は「対人戦で負けていたりして、身体で勝ってやろうと思っていた。だけど、相手の隙を突いて身体を入れたり、もっと冷静に対応できれば良かった」と悔やんだ。

 対人戦で上回られての敗戦だったが、なかでも鮮烈な印象が残ったのはMFレアンドロ・ドミンゲスだった。「やっぱり怖いですね。嫌なボールの持ち方をするし、嫌なボールの入れ方をしてくる」。かつては柏レイソルでJ1昇格、J1制覇を成し遂げ、昨季から横浜FCでプレーしている35歳。この日は先制点の起点になったミドルシュートとセットプレーで全3得点に絡んでいた。

 ただ、そんな大きな存在が相手だとしても、負けを受け入れているわけではない。「セットプレー2発とロングシュートだったので、J1に行ったらこのくらいは全然あるような形だと思う。こういう試合でも勝たないと、これから上でやっていけない」。昇格争いのライバルとはいえど同じJ2クラブ。来季のJ1を目指す者としてのプライドをのぞかせた。

 このような意識付けは片野坂知宏監督の言葉からも垣間見えた。「たとえばわれわれがJ1に上がった時、クオリティーの高い選手がたくさんいる中でそれを防いでいかないといけないし、球際が強く、走ってくる相手に対し、自分たちも負けないように戦っていかないといけない」。選手に求める基準をそう高く持つ指揮官は、失点シーンを「J1ではよくあること」と振り返っていた。

 シーズン序盤は負傷もあって出遅れた岩田だが、第25節からは指揮官の信頼を勝ち得ており、ここまで16試合連続で先発出場中。その間は10勝1分5敗と大きく勝ち越し、好調のチームを支えている自負はある。「自分が出始めてチームが勝てているのはポジティブだし、やりたいサッカーを表現できているのかなとは思う」。

 その一方、大きな責任感も芽生えている。「このサッカーだと僕とフクくん(DF福森直也)が点を取らせるようにならないといけない」と述べたように、大分のストッパーは攻守に高い貢献度が求められるポジション。守備の安定感は最低限の役割としたうえで、「意図的に良いボールを出せればもっと崩せるようになるはず」と攻撃力向上に意気込みを示した。

 この日はA代表と五輪代表を兼務する森保一監督が視察に訪れたが、「みんなからアピールしようって言われたけど、あんまり意識せずにやれた」と気負いはなし。まずは生まれ育った故郷のクラブをトップカテゴリに導くため、「自分はサッカーをするだけだし、自分の良さをしっかり出して、チームが勝つために生かせれば良い」と努力を続けていくだけだ。

(取材・文 竹内達也)
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