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『終了1分前』の2つのゴールが頂点へ導く。岡山学芸館が2年ぶりの全国へ!

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延長戦を制した岡山学芸館高が2年ぶりの全国へ

[11.4 選手権岡山県予選決勝 岡山学芸館高 3-2(延長)作陽高 シティライトスタジアム]

 第97回全国高校サッカー選手権岡山県予選決勝が4日に行われ、岡山学芸館高作陽高を延長の末に3-2で下し、2年ぶり2回目の出場を決めた。

 『終了1分前』の2つのゴールが、岡山学芸館に2回目の選手権出場をもたらした。今年の新人戦と全国総体予選を制し、県内3冠&2年連続24回目の出場を狙った作陽に前半途中までに0-2とリードされたものの、そこから3得点を奪っての大逆転で全国切符を勝ち取った。

 前半途中までは、作陽が主導権を握った。序盤はロングパスを多用していたが、徐々に最終ラインからのビルドアップで相手のプレッシャーを外す場面を増やすと、前半23分に先制点を奪う。MF中坂友哉(3年)が右サイドを突破して折り返すと、ゴール前中央で待っていたFW桑畑星凪(3年)がスルー。待ち構えていたMF田中成宜(3年)がトラップと同時にエリア内に抜け出し、左足で蹴り込んでネットを揺らした。

 さらに作陽は前半31分、左CKのチャンスで、MF水野僚太郎(3年)のキックを、うまくマークを外したDF羽田一平(3年)がファーサイドからヘッドで折り返すと、中央で桑畑が蹴り込んで2点目。得意のセットプレーですぐさまリードを広げた。

 しかし岡山学芸館も前半36分、DF仲達大翔(3年)が自陣から蹴った長いFKを、MF鶴海翔大(3年)がヘッドでエリア内に送ると、これに素早く反応したFW前田光輝(3年)が蹴り込んで1点差に。折り返した後半開始からはFW岡田知也(2年)を投入して前への圧力を強め、多くのチャンスを作り出した。だが作陽も最終ラインが踏ん張り、GK岸本鉄矢(3年)も好セーブを連発して防ぐなど、少しずつ逃げ切りへと近づいていた。

 だが岡山学芸館の猛攻が、後半終了間際に実る。39分、左サイドからのFKは作陽守備陣にはね返されたが、こぼれ球を拾ったMF藤井大地(3年)が、エリア外中央から「打てば何とかなると思った」という右足シュート。これが相手DFに当たって微妙にコースが変わり、作陽GK岸本の手をはじいて同点ゴールとなった。

 10分ハーフの延長は、追い付いた勢いを持続した岡山学芸館が前半から何度も決定機を作り出す。しかし、決定機でシュートが枠を捉えなかったり、決まったかと思われた得点が直前のファウルで取り消されるなど、逆転には至らない。後半も同様の展開だったが、なかなか得点は生まれなかった。

 しかし、試合終了1分前の延長後半9分、ついに劇的なゴールが生まれた。岡山学芸館は岡田が左サイドで相手ボールを奪うと、中央で折り返しを受けた鶴海が右足シュート。ボールは左ポストに当たったが内側にはね返り、転がりながらゴールラインを越えて、選手権への扉を開く決勝ゴールとなった。

 昨年度も予選決勝で作陽と対戦し、2-3で競り負けていた岡山学芸館は、リベンジを果たして2回目の全国出場。主将のMF永田一真(3年)が「0-2にされましたが、失うものは何もないので、とにかく前に行ってゴールを決めようと話していた」と語った攻めの姿勢が実り、鮮やかに劣勢を覆した。

 今年は3月の中国新人大会を制したものの、全国総体県予選は準々決勝で敗退。それまで以上の猛練習で選手権に懸けてきた思いを、鮮やかな逆転劇で実らせた。2年前の初出場時は1回戦で、山梨学院高(山梨)にオウンゴールの1失点で0-1の完封負け。殊勲の逆転ゴールを決めた鶴海は「少しでも長く、みんなとサッカーをしたい」と、悲願の選手権1勝から、さらに勝ち上がるべく決意を新たにしていた。

(取材・文 石倉利英) 
●【特設】高校選手権2018

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