[MOM2683]北越MF坂本元悠(3年)_決勝点!交代出場の“職人”が咄嗟の判断でビッグプレー
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権新潟県予選準決勝 新潟明訓高 1-2 北越高 五十公野公園陸上競技場]
まさに咄嗟の判断だった。北越高は後半32分にDF永野太一に代わって右サイドハーフとして投入されたMF坂本元悠(3年)が、その4分後に大仕事をやってのけた。
36分、左サイドでFW庄内碧(2年)にボールが入る瞬間に、右サイドから一気にゴール前のスペースに潜り込んだ。すると庄内からクサビのパスが届く。ゴールに背を向けていた坂本の視界は、飛び込んで来るエース小林心(3年)の姿を捉えていた。
「心をずっと見ていて、自分が落としてシュートを打ってもらおうと思っていた」。
だが、荒瀬陽介監督の「相手は心を徹底マークして来るから、うまく周りを活かせ」という言葉と、実際にベンチから戦況を観て、「相手は徹底して心を警戒しているのが分かった」と把握していたことから、坂本は咄嗟に判断を変えた。
「明訓ディフェンスは僕よりも心の方に意識が行っていると思ったので、(心を)おとりに使おうかなと考えました」。
クサビが足下に届くと、「ボールが来た瞬間に少し浮いていたので、右足に引っ掛ければ、自分を超えて後ろに落ちると思ったので、浮かして反転しました」と、右足インフロントでボールの下を突いて、バックスピンを掛けながら自分の背後にボールを送ると、鋭い反転から前を向いた。
前を向くと、目の前にはボールと飛び出して来た新潟明訓高GK竹内槙吾(2年)の姿があった。「明訓のGKが前に出て来るということは分かっていたので、パッと顔を上げた時に詰めて来ているのを確認してから、相手GKが足を広げる前に先にボールを突っついて流し込もうと思って、右足を伸ばしてつま先で蹴り込みました」。判断良く飛び出して来たGK竹内の一歩手前で、伸ばした右足のつま先でボールを捉えると、ボールは狙い通り竹内の足下をすり抜けてゴールに飛び込んで行った。
咄嗟の判断で、最良の選択をした。だからこそ、値千金の決勝点が生み出された。プリンスリーグ北信越王者を沈める一撃を決めた殊勲の男は、試合後に自分の立場を理解して、与えられた仕事をきっちりとこなす“職人的な一面”を見せた。
「もちろんレギュラーになって試合に出たいですが、今の僕は試合途中に出て、チームを勝たせることが仕事だと思っています。途中から入る以上は、みんなのモチベーションを上げることと、攻撃なら得点、前線からの守備をさぼらないことを意識しています。僕はあまり相手に警戒されていない選手なので、逆にチャンスかなと思ってやっています」。
決勝でもこの職人の働きが試合の結果を大きく左右するだろう。ピッチサイドで彼が交代準備に入ったとき、そこが試合の分かれ目となるかもしれない。
(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校選手権2018
[11.4 選手権新潟県予選準決勝 新潟明訓高 1-2 北越高 五十公野公園陸上競技場]
まさに咄嗟の判断だった。北越高は後半32分にDF永野太一に代わって右サイドハーフとして投入されたMF坂本元悠(3年)が、その4分後に大仕事をやってのけた。
36分、左サイドでFW庄内碧(2年)にボールが入る瞬間に、右サイドから一気にゴール前のスペースに潜り込んだ。すると庄内からクサビのパスが届く。ゴールに背を向けていた坂本の視界は、飛び込んで来るエース小林心(3年)の姿を捉えていた。
「心をずっと見ていて、自分が落としてシュートを打ってもらおうと思っていた」。
だが、荒瀬陽介監督の「相手は心を徹底マークして来るから、うまく周りを活かせ」という言葉と、実際にベンチから戦況を観て、「相手は徹底して心を警戒しているのが分かった」と把握していたことから、坂本は咄嗟に判断を変えた。
「明訓ディフェンスは僕よりも心の方に意識が行っていると思ったので、(心を)おとりに使おうかなと考えました」。
クサビが足下に届くと、「ボールが来た瞬間に少し浮いていたので、右足に引っ掛ければ、自分を超えて後ろに落ちると思ったので、浮かして反転しました」と、右足インフロントでボールの下を突いて、バックスピンを掛けながら自分の背後にボールを送ると、鋭い反転から前を向いた。
前を向くと、目の前にはボールと飛び出して来た新潟明訓高GK竹内槙吾(2年)の姿があった。「明訓のGKが前に出て来るということは分かっていたので、パッと顔を上げた時に詰めて来ているのを確認してから、相手GKが足を広げる前に先にボールを突っついて流し込もうと思って、右足を伸ばしてつま先で蹴り込みました」。判断良く飛び出して来たGK竹内の一歩手前で、伸ばした右足のつま先でボールを捉えると、ボールは狙い通り竹内の足下をすり抜けてゴールに飛び込んで行った。
咄嗟の判断で、最良の選択をした。だからこそ、値千金の決勝点が生み出された。プリンスリーグ北信越王者を沈める一撃を決めた殊勲の男は、試合後に自分の立場を理解して、与えられた仕事をきっちりとこなす“職人的な一面”を見せた。
「もちろんレギュラーになって試合に出たいですが、今の僕は試合途中に出て、チームを勝たせることが仕事だと思っています。途中から入る以上は、みんなのモチベーションを上げることと、攻撃なら得点、前線からの守備をさぼらないことを意識しています。僕はあまり相手に警戒されていない選手なので、逆にチャンスかなと思ってやっています」。
決勝でもこの職人の働きが試合の結果を大きく左右するだろう。ピッチサイドで彼が交代準備に入ったとき、そこが試合の分かれ目となるかもしれない。
(取材・文 安藤隆人)
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