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[MOM571]早稲田大DF大桃海斗(3年)_“6失点の責任”監督の名指し批判に奮起

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DF大桃海斗は「現状維持より常に変化を求めてやっていきたい」と話す

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 関東大学1部L第19節 早稲田大0-0筑波大 味フィ西]

 早稲田大にとっては勝ちに等しいスコアレスドローだった。負ければ勝ち点差が3に縮まっていた。ましてや前節の東洋大戦ではまさかの6失点と守備が崩壊していたため、不安材料も多かった。そんな中での無失点ゲーム。外池大亮監督は「筑波大の勝ち点2を防いだというところでは非常に大きい。さらにテーマとしていた失点ゼロが大きい」と素直に評価した。

 DF大桃海斗(3年=帝京長岡高)にとっても前節は屈辱だった。東洋大戦で許した6失点のうち、4つのゴールは高校時代の同級生でもあるFW小林拓夢(3年=帝京長岡高)に決められてしまったからだ。「試合前から今日は取るよと言われていて、気合入っているなと思ったんですけど、まさかあそこまでとは…」。

 混乱を生んだ原因はDFラインの背後を突かれたことにあった。“全てを知る相手”に、大桃の弱点を徹底的に突かれたのだ。「お前のせいで負けたんだ」。普段は選手を批判することはないという外池監督だが、週明けの練習で大桃を名指しして責任を感じさせたのだという。

「今季で一番責任感を持って臨んだ試合でした」

 外池監督にとっても一つの懸けだった。ただこれは今季これまでフルタイムで出続けているDFリーダーへの揺るがない信頼があったからこその発言。「この一週間、気の抜けたプレーがあったらお前は使わない」と強い言葉を発することで、大桃の奮起、ひいてはチーム全体への影響を期待した。

「意図して押し込ませてからそこからのカウンターでチャンスをものにするというのが今日の試合のテーマだった。だから押し込まれているからよくないとかは考えなかった。1-6という結果からチーム全体でどうするかということを共有できたことが、今日の結果に繋がったと思います」

 この引き分けにより、次節にも3年ぶりの優勝が決まることになった。大敗を引きずらないのが、今年の早稲田の強さでもある。大量失点が続いた試合に責任を背負いこんでいた大桃は、3戦目で勝利したあと、涙を流して喜んだ。熱血漢。歓喜の涙は必ず流してみせる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第92回関東大学L特集

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