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「ここまでのリベンジをする気持ち」で戦う鹿児島城西、5-0で鹿児島準決勝へ

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鹿児島城西高はMF山縣聖大(右)の3得点の活躍などで準決勝進出

[11.8 選手権鹿児島県予選準々決勝 鹿児島城西高 5-0 鹿児島工高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場B]

 8日、第97回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選準々決勝が行われ、鹿児島城西高と鹿児島工高が対戦。鹿児島城西がMF山縣聖大(2年)のハットトリックなどで5-0の快勝を収め、ベスト4進出を果たした。鹿児島城西は10日の準決勝で松陽高と対戦する。

 ロシアW杯でも活躍した日本代表FW大迫勇也も輩出している名門・鹿児島城西だが、今季はリーグ戦で苦しい戦いが続いてきた。「ずっと悔しい思いをしてきた。プリンスリーグ九州でもまるで勝てなくて、5点以上取られる試合ばかりだった」とFW上城崇斗(3年)が振り返ったとおり、プリンスリーグ九州では8得点90失点、勝ち点わずか2という屈辱的な数字を残してすでに最下位が確定済み。それだけに、この選手権は「ここまでのリベンジをする気持ちを持って全力でやる」(上城)という位置付けの戦いともなっている。

 悔しい思いを重ねる中で、徐々にチーム力も向上してきていた。小久保悟総監督は「この大会直前から守備が良くなってきて、失点が減っている」ことを好材料に挙げる。小柄ながらクレバーなDF池田真太朗(2年)をセンターに置き、屈強なDF濱田康成(2年)とDF飯野修司(2年)の二人を左右に配する2年生トリオによる3バックも、この日は確かな安定感を見せた。

 ただ、対する鹿児島工も過去4度の高校選手権出場を誇る名門校。簡単に負けるつもりはなく、田原寛人(1年)、清佑稀(2年)らDF陣でペナルティーエリアを固めつつ、サイドハーフも深い位置まで下げて守りを固め、前線に待つ強力FW塩浦凱一の走力を活かしてチャンスをうかがう構えを見せた。

 ボール支配を譲って守備的に入ってきた相手に対し、鹿児島城西は12分という早い時間にセットプレーから先制点を奪ったことが幸いした。MF西田崇人(2年)の蹴ったCKのこぼれ球に抜け目なく反応した山縣が先制点を奪い取る。その後も城西が攻勢を継続する流れだったが、33分の山縣のシュートに対してDF清が魂のブロックを見せるなど追加点は許さない。0-1のまま折り返しを迎えた。

 鹿児島城西にとってはこのままズルズルいくと危ない流れだったが、後半7分にこの試合のヒーローがその空気を吹き飛ばす。ハイボールが跳ね返されてゴール前からこぼれてきたボールに対し、山縣が右足一閃。「自分でもビックリした」という弾道のミドルシュートが鮮やかに突き刺さり、2-0とリードを広げた。

 後半に入ってからは中盤中央のトライアングルも時間を追うごとに機能性を増した。ボランチの位置から北條真汰(2年)がダイナミックにゲームメイクしつつ、山縣は積極的な動き出しからゴールへと迫る。ここに抜擢された1年生ボランチのMF桑原滉も絡み、攻撃をリードし続ける。前線に配された3年生コンビ、坂下雅崇と上城も献身的なプレーを継続してチームを引っ張った。

 後半26分、北條のアシストから山縣がハットトリックとなる3点目を決めると、28分には上城、そしてアディショナルタイムには北條が追加点。攻勢に出てきた相手の裏をついていく理想的なゴールラッシュ。終わってみれば5-0の大勝で、準決勝へと駒を進めた。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校選手権2018

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