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[MOM2690]宇和島東FW豊田湧(3年)_“全国”へ導いた「名も知られていない」エース

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宇和島東高FW豊田湧(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権愛媛県予選決勝 宇和島東高2-0八幡浜工高 ニンスタ]

 1点がほしい――。そこで点を取るのがエースだ。八幡浜工高の堅守に苦しんだ宇和島東高だったが、後半26分についに試合を動かす。ネットを揺らしたのは背番号10を託されるFW豊田湧(3年)だった。

 2回戦の新居浜工戦でハットトリックを達成した豊田は、続く準々決勝大洲戦、準決勝済美戦でもゴールを陥れ、3試合連続ゴールと好調を維持して決勝戦を迎えた。2トップの一角に入ると空中戦での強さを発揮して前線の基準点となるだけでなく、自らも果敢にゴールに迫る。しかし、前半24分にMF立木耕貴(3年)のスルーパスから放った右足シュートがGK大星陸渡(3年)に阻まれ、同34分にはMF宮本竜成(3年)のクロスにヘディングで合わせるが、これも大星の守備範囲に飛んでしまった。

「前半からチャンスがあったけど、決められなかった」。しかし、ゴールへの強い意欲を示すエースは、後半26分に値千金の先制点を奪取する。ハーフウェーライン付近から立木がドリブルで運ぶと、右に流れながらボールを呼び込む。再びボールを立木に預けて自らはゴール前に走り込むと、「立木とはイメージが合う。自分が一番良いと判断したところに絶対に入れてくれる」と浮き球のパスが立木から届けられる。迷わずに右足で合わせたボレーシュートは豪快にネットに突き刺さり、試合を動かす大きな1点が生まれた。

「ここまで全試合で得点を取っていたし、インターハイ予選のときも毎試合得点していた。俺が決めたらチームは勝てると思っている」

 そう力強く語る豊田だが、今夏出場した全国高校総体では1回戦で対戦した米子北を相手に無得点に終わり、チームも0-4の完封負けを喫した。「何もできずに終わってしまった」と当時を振り返りつつも、「自分の特長である高さを磨いた」ことで今予選6得点中4点をヘディングで決めるなど成長を見せた。赤松弘教監督も「勝負どころでちゃんと決められる選手になってきた。愛媛で戦える選手になったと思うので、全国でも戦える選手になってほしい」と期待を寄せている。

「憧れの舞台」と語る選手権。「名も知られていないと思う」と語るエースは「自分ができるプレーを精いっぱい出したい」と県予選同様にチームに勝利をもたらすゴールを奪い、その名を全国に知らしめようと燃えている。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2018

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