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インハイ王者敗退の山梨、日本航空が6年ぶりの全国へ!

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日本航空高が山梨県予選を制した

[11.10 選手権山梨県予選決勝 帝京三高 0-2 日本航空高 中銀スタ]

 日本航空が山梨予選制す! 第97回全国高校サッカー選手権山梨県予選決勝が10日に行われ、帝京三高日本航空高が対戦。日本航空がMF塚越誠也主将(3年)とFW坂本順平(3年)のゴールによって2-0で勝った。日本航空は12年度以来6年ぶり2回目となる全国大会出場権を獲得。全国大会の組み合わせ抽選会は今月19日に行われる。

 準決勝で帝京三がインターハイ王者の山梨学院高を延長戦の末に撃破。夏の日本一に代わる山梨代表校の座を争う決勝は、日本航空が制した。「上手くないから、人よりもハードワークしたり、チャンスをたくさん作り出したり、ミスをみんなで帳消しにしたり、こぼれ球を拾ったりすることを意識してきました」と仲田和正監督が話したように、今年の日本航空は全員が一丸となってハードワークを徹底するチーム。その日本航空が序盤から相手を押し込み、幸先よく1点を奪い取った。

 5分、連続ロングスロー後に左サイドから仕掛けたFW師岡柊生(3年)が突破。最後は混戦からこぼれたボールを塚越が右足で狙うと、DFに当たってコースの変わったボールがゴール右隅に吸い込まれた。

 今年初めて県大会の決勝を戦う日本航空が、今年の4大会で3度ファイナリストになっている帝京三から先制点。日本航空は3バックの中央に位置する篠原靖(2年)を除くフィールドの9選手全てが相手選手をマンマークする形で帝京三にボールを握らせない。帝京三が相手のプレスを避けてロングボールを多用した結果、ボールが両陣地を激しく行き交う展開となった。

 帝京三は最前線のFW亀屋光二(3年)が競って、MF小林龍太(3年)やMF雨宮優翔(3年)が上手く前を向いた際にはチャンスになりかけていた。だが、日本航空は篠原、能口岳斗(2年)、小田翔大(2年)の2年生3バックや、献身的にプレスバックする中盤の選手たちが帝京三に決定打を打たせない。

 塚越が「自分たちは一人が止めたら絶対に勝てないチーム」と評していたが、日本航空は11人がサボらずにプレー。そして、攻撃ではスペースへボールを入れると、最前線でDFを引きずるような前進を繰り返していた師岡が相手DFラインを押し下げる。そしてクロスやCKの数を増やして帝京三にプレッシャーをかけた。

 帝京三は後半3分、右CKからCB宮川将一主将(3年)が決定的なヘディングシュート。だが、日本航空はMF齊藤泰征(3年)がゴールライン上でクリアして得点を許さない。後半は、立ち上がりから亀屋や右SB佐野大樹(1年)の突破などによって相手PAに入る回数を増やした帝京三が主導権を握って反撃。後半だけで5本のCKチャンスを得た。だが、相良和弘監督が「CKで決めていれば流れが変わったかもしれない」と残念がったように、同点ゴールを奪うことができず。対して、前線の選手交代で運動量を維持するなど我慢の時間帯を乗り越えた日本航空が追加点を奪った。

 後半32分、日本航空は左サイドからコンビネーションによる崩し。MF中島偉吹(3年)のスルーパスから中へ切れ込んだ交代出場DF加藤祥真(3年)が、粘って後方の味方へ繋ぐ。これを坂本が狙いすました右足インサイドシュートで右隅を破って2-0。この後、着実に時間を削った日本航空が全国出場を勝ち取った。

 試合直後、「今年、苦しかった」と語った仲田監督の目から涙が溢れ出る。新チームのスタートからなかなか結果の出なかったチームはインターハイ予選準決勝で山梨学院高に0-2で敗戦。ただし、試合内容は悪くなく、山梨学院が全国制覇したことでそれは手応えに変わった。

 12年度の全国初出場時は“蝶のように舞い、蜂のように刺す”のモットーを体現するような華麗なポゼッションサッカーだった。だが、今年の日本航空がこだわったのは、みんなが自覚、責任、誇りを持ってひたむきにハードワークを続け、戦い続けること。決勝でも飾ることなく、自分たちがやるべきことを貫いて優勝した。

 師岡は「(仲田監督から)応援組の3年生の姿だったり、(6年前)選手権行った時の代によく似ていると言われていた。3年生全員で勝ちに来た」ことを説明する。指揮官も「生徒たちの素直さ。それに尽きると思います」と讃える世代が、夏に全国制覇を果たした山梨県の代表校として選手権に臨む。塚越は「(インターハイ優勝の)山梨学院は刺激になって、逆に日本一は遠くないと思った。代表として誇りをもっていきたい」。まずは選手権初勝利が目標。そして、一戦一戦勝ち続けて、夏の山梨学院に続く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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