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[MOM2694]東邦GK木下堅登(3年)_“チームで一番小さい”163cm守護神が主役に「小さくてもGKはできる」

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笑顔で記念撮影をする東邦高GK木下堅登(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 選手権愛知県予選準決勝 東邦高1-0名経大高蔵高 パロ瑞穂]

「チームで一番小さい」守護神が伝統校を決勝の舞台に導いた。東邦高GK木下堅登(3年)はスタメン11人で最も低い身長163cm。県予選準決勝の名経大高蔵高では小さな身体で相手の決定機をことごとく阻止し、「こういう注目される中で活躍して、小さくてもできるんだぞということを知っていただきたい」と力強く語った。

「今日はキーパー様様だよ。頼りになる。ハートも強いしね」。劇的な勝利にも厳しい姿勢を崩さなかった横井由弦監督だったが、守護神を語る際には賛辞の言葉を惜しまなかった。この日は少なく見積もっても3度の得点機を阻止。得意のシュートストップだけでなく、身体能力を生かした飛び出しでハイボールにも対応し、ゴールマウスの外に弾き出していた。

「セービングには自信を持っている。今日は相手にかわされないように意識してやっていたせいか、ディフェンスの間合いが詰められていない時間帯が長かった。スペースが空いてシュートを打たれていたけど、目立てるチャンスだと思っていた」。準々決勝の東海学園高戦ではPK戦で3本をストップしてヒーローになったが、強気なメンタリティーを生かして準決勝も主役の座を射止めた。

「試合に出られていない人のぶんまで責任感を持ってプレーしないといけない。僕が無失点なら負けることはないし、自信を持って、素直に、謙虚にプレーしていく」。そんな思いは自らも試合に出られない立場を経験してきたからだ。春の新人戦、夏のインターハイはいずれも直前の負傷でレギュラー落ち。ようやく秋のリーグ戦からトップチームの出番をつかんだ。

 そんな上り調子のGKには“とあるルーティーン”がある。試合前の記念撮影をする際、両端に立つのはいずれも180cm超えのDF河合康太郎(3年)とFW河邊雄大(3年)。この並びだと、身長差はなおさら際立つ。「初めて出た時からずっとです。小さくて可愛がってもらうようなキャラなので、ああやってイジられて…(笑)」。そんな明るい口調からは自らの体格を惜しむような様子は一つもない。

 それは自らの身長を前向きなモチベーションに変えているからだ。「GKは大柄な人が多いポジションだけど、決勝でも活躍して『GKは身長じゃない』ってことを証明したい。そして愛知のベストイレブンに入りたい。自分はまだまだ有名じゃないので、ここで活躍して名を上げようと思っている」。決勝の対戦相手の名古屋高は今季の県リーグを制覇し、勢いに乗っている新興校。伝統校との対立構図に注目が集まる中、その関心をステップアップの契機としようとしている。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2018

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