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V弾で咆哮した田中隼磨「あの経験をつなげたい」過去2シーズンの雪辱果たし昇格&初優勝へ

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サポーターに昇格を誓ったMF田中隼磨

[11.11 J2第41節 栃木0-1松本 栃木グ]

 感極まった表情でピッチにしゃがみ込み、咆哮した。MF田中隼磨松本山雅FCの4年ぶりJ1昇格を手繰り寄せる決勝点を叩き込んだ。スコアレスで迎えた後半27分、MF藤田息吹のパスを受けてPA内左を縦に仕掛けたMF石原崇兆がゴールライン際から折り返すと、これに詰めた田中が「気持ちで押し込んだ」と左足ダイレクトで沈めた。

「試合前にもピッチの上で(気持ちを)表現すると言っていた。口だけじゃなく表現できて、それが結果につながってよかった」。拳を握り締めて何度も吠える最年長の36歳をチームメイトが囲み、ピッチには歓喜の輪が広がった。

「何もしてない人に運は来ない。試合に出れなくて苦しいこともたくさんあった。そういうことを思い出しながら喜んでいました」。9月以降は先発を奪い返したが、春夏と試合に出場できない期間が続き、「この歳になっても苦しいことは沢山ある」と言った。

 10日、ガンバ大阪のMF遠藤保仁(38)がフィールド選手初のJリーグ通算600試合の出場を達成した。通算出場数は631試合の名古屋GK楢崎正剛(42)に次ぐ歴代2位の記録。「刺激になる部分はある。フリューゲルスの先輩。楢崎正剛さんもいる。そういう人たちに追いつくためにもJ1の舞台にいきたいですよ」。

 プレッシャーが増大する終盤の難しさ、自動昇格への道が険しいことは痛いほど分かっている。2016年は第22節から2位を守り続けたが、猛烈な追い上げを見せた清水と最終節で勝ち点84で並ぶと、得失点差で下回って3位に終わり、自動昇格を逃した。迎えたJ2プレーオフは6位岡山に1-2で敗戦。昨年もプレーオフ出場権を争ったが、ラスト3節は未勝利(2分1敗)と失速。勝てば自力でプレーオフ圏の6位以内を決められた最終節で京都に敗れ、8位でシーズンを終えた。

「チームとしては共有できているけど、メンバーも違う。昇格して優勝して、あの経験をつなげたい」。熾烈を極めるJ1昇格争いは最終節にもつれ込む。本拠地サンプロアルウィンで徳島に勝利すれば、自力で昇格と優勝を決めることができる。「しっかりとチームの初タイトルを取ってJ1に上がりたい」。戦う姿勢を背中で示したレジェンドは悲願の初優勝を誓い、表情を引き締めていた。

(取材・文 佐藤亜希子)

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