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[MOM2699]関西学院高MF林幹太(3年)_「今年一番、成長したのは彼」。主将が鋭い突破から2アシスト

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関西学院高を50年ぶり全国へ導いたMF林幹太

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権兵庫県予選決勝 県立西宮高 1-2関西学院高 ノエスタ]

 延長戦の末、滝川ニ高に0-1で敗れた昨年の決勝のリベンジを狙った一戦で、眩いばかりの活躍を見せたのは主将を務める左サイドハーフの関西学院高MF林幹太(3年)だった。

「昨年の決勝に行った時は意気込み過ぎて、自分たちのプレーができず繋げる所でもクリアしていたので、今日は落ち着いてプレーしようと意識していた」。そう振り返る前半は相手が左サイドからの仕掛けを多用すると分析し、反対サイドである林側から攻撃。縦への突破を第一に狙いつつ、隙を見ては中央へのカットインを仕掛け、県立西宮高の守備にプレッシャーを与えた。

 すると、前半15分にMF中出湧大(3年)のサイドチェンジをライン際で林が受けると、マークをかわしてゴール前に低いクロスを展開。MF唐山明大(3年)がゴール前で合わせて、先制のゴールネットを揺らした。続く21分にも林のクロスから唐山が2点目をマーク。「練習通りの形」で試合の大勢を決めた。後半は押し込まれ、1点差に詰め寄られたが、50年ぶりの選手権出場に大きく貢献した。

 昨年の選手権予選決勝でもスタメン出場を果たしたが、後半15分に足を吊って、交代を余儀なくされた。「負けた悔しさを感じて、一年間苦しい想いをしてきたと思う」と山根誠監督は口にするが、その経験は無駄ではなかった。「あの時は、緊張しすぎて吊ってしまったので、今年は緊張よりも大観衆の前で楽しもうと心がけていた」(林)。

 新人戦、インターハイ予選ともに満足の行く結果とは言えなかったが、プレー面でもこの一年の経験は彼を逞しくした。シーズン当初はDF三輪愛大(2年)の怪我を埋めるため、CBとしてプレー。その後は右SB、ボランチ、トップとほぼ全てのポジションを経験したが、選手権予選前からは突破力とシュート力をより活かすべく、左サイドハーフにコンバートされた。

 様々なポジションをこなせたのは林にとってプラス。「他のポジションの人がどういうプレーをして欲しいかが分かるようになった」。主将を務めたこともメンタル面での成長を促し、チームが浮足立つ状況でも、声掛けでチームを落ち着かせられるようになったという。その変貌ぶりは、山根監督が「今年一番、成長したのは彼」と目を細めるほどだ。

 念願だったタイトルを手にしたが、浮かれた様子は見られない。「前半2点を獲る所までは自分たちの形でやれていたけど、2点獲った後が課題。守る姿勢に入ってしまったけど、あそこで追加点が獲れていたら楽な試合になっていた。全国までに3点目が獲れるチームになりたい」と口にするように、次は林を中心に全国で勝てるチームを目指す。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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