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こちらも全4試合無失点。「集団で守る」東海大仰星がプレミア勢突破し、大阪決勝進出!

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前半39分、CB仲本樹(5番)の先制ゴールを喜ぶ東海大仰星高イレブン

[11.11 選手権大阪府予選準決勝 東海大仰星高 1-0 阪南大高 金鳥スタ]

 東海大仰星が全4試合無失点で決勝進出! 第97回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝が11日に行われ、東海大仰星高と阪南大高が対戦。CB仲本樹(3年)の挙げた1点を守った東海大仰星が1-0で勝ち、大阪学院大高と戦う決勝(17日)へ進出した。

 プレミアリーグWESTに所属する阪南大高とプリンスリーグ関西で2位につけている東海大仰星の強豪対決。ともに守備意識が高く、サイド攻撃に特長を持つ両校によるセミファイナルは、1点勝負の緊迫した攻防戦となった。

 阪南大高はプレミアリーグWESTで8得点の快足エースFW和田育主将(3年)とFW椎悠輔(3年)、東海大仰星もFW藤川直己主将(3年)とFW矢野修大(3年)を起点に攻めようとするが、互いにDF陣が隙を見せない。

 その中で阪南大高は22分、右SB北村隼(2年)がクロスバーを直撃する右足ミドル。また、オープンスペースへのフィフティボールを攻撃に結びつける和田が相手にプレッシャーをかける。一方、東海大仰星も「アクセントになる選手」(中務雅之監督)というレフティーMF美藤倫(2年)や「チームがしんどい時に引っ張っていきたい」という10番MF東龍星(3年)が相手の守りに割って入る動きを見せていたほか、ロングスローからフィニッシュに持ち込むなど攻め返す。

 スコアは前半終了間際に動いた。東海大仰星はMF中屋敷竜樹(3年)の左CKを大外の仲本がヘディングシュート。これがゴール中央を破った。ベンチへ向かって一直線に走り切った仲本中心に歓喜の輪。阪南大高は試合後に和田やMF中村成龍(3年)がこの失点を悔やんでいたが、重い1点がのしかかることになった。

 東海大仰星は、相手の長身FW椎が頭でそらして和田が抜け出してくる攻撃を特に警戒。仲本やCB瀬戸山翔(2年)、そして左SB藤田星陽(3年)、右SB前島匠(3年)が椎に競り負けないこと、和田をスピードに乗せないことを意識しながら守り続ける。

 阪南大高は後半11分、中村成が左サイドで2人かわして突進。直後には怪我でインターハイを欠場したMF岸田悠希(3年)とMF窪田伊吹(2年)を左右のSHに投入し、サイド攻撃に推進力を加える。窪田が右サイドを突破するシーンもあったが、中務監督が「互いのスカウティングから、駆け引きの部分を見せてくる中で判断をどうしていくかはまだまだですけれども、少しずつ冷静になってきた」という東海大仰星は慌てず、決定的な形でのシュートを打たせない。攻撃でもバタバタすることのない東海大仰星は少ない手数の攻撃から東や藤川がシュートシーンを演出。手堅く試合を進めていた。

 阪南大高は37分に和田が気迫の突破からシュートを放つが、GK正面。東が「戦術や誰がどうだろうと、一人のミスをみんなでカバーすることを意識しています。一人ひとりじゃなくて、集団で守るというところが仰星なので仲間を信じて守り抜くことができました」という東海大仰星の堅守は最後まで揺るがず、1年前にPK戦で散った準決勝を突破した。

 東海大仰星は2年前、全国大会で東福岡高などを破ってベスト4。その登録メンバーだった藤川は「自分たちの代は全国に行った2年前の代も見ていますし、去年ベスト4で負けた代も見ている。両方を見ている代としての責任感、使命感を個人個人が持っていると思います。去年行けなかったのは何かが足りなかったからで。その何かが明確には分かっていませんけれども、去年、一昨年よりもクオリティは高く、そして運動量は多くということを意識してやっています」と語る。先輩たちから学び、受け継いできたものは彼らの大きな武器だ。中務監督はここへ来て、選手たちの「気づき」「積極性」の部分が変化してきていることを口にしていた。

 東海大仰星はプリンスリーグ関西15試合でリーグ最少の10失点。今大会もPK戦までもつれ込んだ初戦から無失点を継続している。決勝で対戦する大阪学院も今大会無失点。堅守の両チームによる大阪ナンバー1決定戦となった。自分たちの強みで負ける訳にはいかない。「全員が勝つ、という気持ちが強い」(藤川)、「勘違いせずに決勝戦でも堂々とプレーしたい」(東)という東海大仰星が積み上げてきたもの、そして堅守を発揮し、全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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