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新生・那覇西が王座奪還!西原を延長戦で振り切り、16回目の全国へ:沖縄

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那覇西高が2年ぶりに選手権切符を獲得した

[11.10 選手権沖縄県予選決勝 那覇西高2-1(延長)西原高 南風原町黄金森公園陸上競技場]

 第97回全国高校サッカー選手権沖縄県大会決勝が10日に行われ、延長戦の末、那覇西高が2-1で西原高を破り、2年ぶり16回目の頂点に立った。

 序盤からDFラインを上げ、攻撃姿勢で向かう那覇西に対し、開いたスペースを利用し裏に抜け出す西原という構図が出来上がっていた。那覇西の攻め入る時間が続く中、試合が動いたのは前半38分。右SH宮国永遠(3年)のクロスにFW高良竜太郎(3年)がくさびとなり、左SH金城竜馬(3年)へラストパス。これを金城がきっちり決め、那覇西が先制点を奪った。

 その後も攻め立てる那覇西は再三ゴール前でチャンスを作り続けたが、相手の堅いブロックを前に追加点を上げられず。一方の西原は、背番号10の渡久山裕二(3年)が負傷退場するアクシデントに見舞われ、タクトを振るう選手が不在となる中、エースストライカーの玉城羽(3年)が攻撃の中心として孤軍奮闘する姿が見られた。

 後半に入り、追いかける立場の西原が息を吹き返す。相手エリア付近で圧力をかけ、シュートチャンスを導き出して攻勢に出ると38分、ロングスローから相手のクリアミスを誘発。そのこぼれ球をDF宮城晋之介(3年)がねじ込み、追い詰められていた西原が歓喜の輪を作った。

 その後スコアは動かず、勝敗の行方は延長戦に委ねられることとなった。「同点にされたが焦りはなかった」と話す主将・東舟道尚吾(3年)の言葉通り、ボールをキープする那覇西は攻撃の起点となるMF宮城海(3年)を中心に虎視眈々とゴールを目指す。

 すると延長後半6分、右サイドからのクロスボールのこぼれ球を途中出場の伊佐航平(2年)がねじ込み、那覇西が勝ち越しに成功。「去年(選手権県大会準決勝・宜野湾高戦)はPKを外して負けてしまったので悔しさを晴らしたかった。(エリアの)中に入れば何か起こるという予感があったし、実際に自分の前にボールが転がってきたので落ち着いて決めることができました」。そう話す伊佐の決勝弾により那覇西が王座奪還を果たした。

 那覇西の平安山良太監督は昨春、現在西原の監督を務める玉城真哉監督から受け継ぐ形で監督に就任。また選手時代も那覇西でプレーしており、そのときにコーチを務めていたのが玉城監督だった。師弟関係という構図が見え隠れする中、平安山監督は昨年果たせなかった選手権出場に向け、一年間通して野心を抱いていた。

「(玉城監督は)偉大な方だし、勝ち方を知っている。ただ、その玉城監督にとっても初優勝を手にするまで本当に苦労していたはず。だからこそ、その玉城監督を乗り越えられた時、自分にとっても大きいものを手にできると思っていた。同点に追いつかれても選手たちが気持ちをフラットにして挑む姿を見て、チーム全体がポジティブになれたことが大きかったと思います」。

 昨年はインターハイ、今年に入り新人戦のタイトルを手にした平安山監督にとって喉から手が出るほど欲しかった選手権覇者の称号。「自分たち以上に平安山監督は去年悔しかったと思うし、そういう思いを二度としたくないという気持ちでした。選手権にかける強い思いがチームを一致団結し勝てた要因だったと思います」(東舟道)。

 平安山監督を兄貴のように慕う選手たちがついに勝ち取った選手権への切符。去年から立ちはだかってきた壁を見事にクリアし、その経験を糧に「新生・那覇西」が全国の舞台に足を踏み入れる。

(取材・文 仲本兼進)
●【特設】高校選手権2018

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