beacon

[MOM2705]浜松開誠館DF山田梨功(3年)_相手の状況を見て、判断して完封勝利と先制弾

このエントリーをはてなブックマークに追加

取り組んできた成果を発揮した浜松開誠館高CB山田梨功は完封勝利と先制点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権静岡県予選 浜松開誠館高 4-0 藤枝明誠高 草薙陸]

 最終ラインに君臨する背番号14が、チームを決勝に導く決勝弾を叩き込んだ。

 浜松開誠館高のCB山田梨功(3年)は前半11分、右で得たセットプレーのためにゴールニアサイドに立つと、一度は相手に弾かれ、再び右サイドに転がって行くボールを見て、すぐさまポジションを取り直した。

 彼は潜り込むようにゴール中央のスペースに息をひそめると、そこに右SB市川侑生(3年)からのクロスが届いた。相手DFの意識は完全にニアに行っており、ゴール前で完全に山田はフリーだった。そして大きな身体を折り畳むように丁寧に頭で合わせると、ボールはゴールに吸い込まれていった。

「ボールに対してファーストタッチだったり、どこにボールを入れるか、どこから守備をするかと、常にどの試合でも相手を見ながら選んで判断をすることは、年間を通して取り組んでいる部分です。この大会はその集大成だと思いるので、今日はそれが出せたと思います」。

 試合後、山田は完封勝利の要因についてこう語ったが、先制弾も彼がセットプレー崩れから相手の状況を瞬時に読み取って、適切なポジションを取ったからこそ生まれたものだった。

 このゴールの後も空中戦の強さや対人の強さを見せて、守備面で存在感を放っただけでなく、得意の右足のキックでもチームの攻撃の起点になった。ボールを受けたら、前に運んで相手FWやボランチを食いつかせてから縦パス、斜めのパスを打ち込んだり、一気にロングボールを蹴り込んだりと、相手の陣形に合わせて判断を変えながら、多くの種類のパスを見せてリズムを作った。

「今日は先制してからの戦い方は修正が必要でしたが、相手が前に来る中、中央のスペースを見ながらやることは出来たと思います」。

 チームにとって14番は特別な意味を持つ。今や日本代表入りも噂されている清水エスパルス不動の左SBである松原后がかつて背負い、その後も須貝英大(現・明治大)が背負うなど、チームのエースナンバーになっている。

「14番で、しかもキャプテンは本当に重要な役割。責任と自覚を常に自分に言い聞かせてやっています。14番は后くんや須貝くんだったり、歴代の偉大な先輩が背負って来た番号なので汚すことは出来ないと思っています」。

 もし、次の決勝で勝てば、これまでの14番やキャプテンが成し遂げられなかった偉業を最初に成し遂げた選手となることが出来る。偉大な先輩達がずっと阻まれ続けた全国大会へ。彼は自分により自覚を促そうとしている。

「間違いなく決勝の静岡学園は厳しい戦いになると思います。でも、歴代の先輩達の経験を土台にして戦い抜きたい。僕は一昨年の決勝も、昨年の準決勝もピッチに立っていて、本当に悔しい想いをした。特に決勝で負けることが一番残酷と言うか、強烈に悔しい。もうあんな景色は絶対に見たくないので、決勝で絶対に勝って歴史を塗り替えたい」。

 悲願達成まであと1勝。まだ見ぬ景色を見るべく、山田はエンジ色に燃えるチームの先頭に立つ。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校選手権2018

TOP